1996 Fiscal Year Annual Research Report
口腔Streptococcus milleriの生体定着因子に関する研究
Project/Area Number |
08457575
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
井上 昌一 鹿児島大学, 歯学部, 教授 (30028740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 理恵 鹿児島大学, 歯学部, 教務職員 (20264450)
松野下 伸子 鹿児島大学, 歯学部附属病院, 助手 (20219463)
松下 信美 鹿児島大学, 歯学部, 助手 (70264447)
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Keywords | Streptococcus milleri群 / Streptococcus anginosus / Streptococcus constellatus / Streptococcus intermedius / 細胞接着 / 細胞外マトリックス / laminin / 遺伝子クローニング |
Research Abstract |
Streptococcus milleri群は口腔内に常在する菌群であるが,細菌性心内膜炎,糸球体腎炎,化膿性病巣において検出され,全身の感染症原因菌になりうることが以前より示唆されている。また最近,ヒト細胞にのみ特異性を示す細胞障害性毒素を分泌することや,上部消化器癌において高率に検出されるという報告もあり,S.milleriの生体細胞への付着・定着機能の解明が脚光を浴びてきている。私どもは,まずS.milleri臨床分離株134株について細胞外マトリックスへの結合性を,ELISA法によりスクリーニングした。その結果,S.anginosus,S.constellatus,およびS.intermediusの3種から構成されるS.milleri群のうち,S.intermediusのみが細胞外マトリックスへ高い結合性を示し,さらにこれはマトリックス構成成分のlamininへ特異的に結合していることによることを見い出した。菌体をトリプシンや熱で処理すると結合能が消失すること,また糖添加により結合が阻害されないことなどより,この結合菌体表層のタンパク質が関与していることが考えられた。この結合因子の解析を進めるために,菌体を超音波処理することにより可溶化し,イオン交換カラムやゲルろ過カラムを用いて粗分画し,lamininへ特異的に結合する画分を集め、さらにSDS-PAGEにより分画した。Western blotにより50-kDaにlamininと特異的に結合するバンドを認め,Protein Sequener(Applied Biosystem)により分析したところ,最初のN-末端アミノ酸配列がSer-Ile-Ile-Phe-Asp-Val-Tyr-Ala-Arg-Glu-Valと決定された。これは,これまでに報告されているS.pyogenesやgroup A streptococciのbacterial adhesinとは異なっていることがわかった。今後,このS.intermedius菌体表層に存在するlimininと特異的に結合するタンパク質について明らかにしていくために,S.intermedius遺伝子ライブラリーを作製し,先に得られたN-末端のアミノ酸配列をもとに合成したoligonucleptide probeを用いてクローニングを行い,遺伝子構造,アミノ酸全配列を明らかにし,さらにlimininと結合活性を有する部位およびその結合機構を解明していくつもりである。
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Research Products
(1 results)