1996 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内dNTPプールの不均衡が誘導する細胞死の分子機構の解明
Project/Area Number |
08457607
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
綿矢 有佑 岡山大学, 薬学部, 教授 (90127598)
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Keywords | アポトーシス / 細胞死 / DNA鎖切断 / 細胞内酸性化 / プロテアーゼ / エンドヌクレアーゼ / 5-fluoro-2′-deoxyuridine / 制ガン剤 |
Research Abstract |
我々は以前に、マウス乳癌由来FM3A細胞に5-fluoro-2′-deoxyuridine(FUdR)を作用させると細胞内のデオキシリボヌクレオシド三リン酸(dNTP)プールに不均衡が生じた後、DNA二本鎖切断酵素が誘導、または活性化され、細胞内DNAが特異的な長さの断片に切断され、細胞が死に至ることを見い出している。我々はこのDNA二本鎖切断酵素を精製し、その性質を調べた。また、この細胞死の過程で細胞内の酸性化が観察されるため、このDNA二本鎖切断酵素の活性化と関連していると考えられる。さらに、セリンプロテアーゼ阻害剤などによって細胞死が抑制されることから、プロテアーゼと細胞死との関係を検討した。 精製したDNA二本鎖切断酵素は分子量が約40kDaであり、多価陽イオンを要求せず、その至適pHは約6.3と酸性領域にあることがわかった。また、フローサイトメーターによる解析から、FUdR使用後約12時間以降でDNA鎖の切断化と酸性細胞群の出現が同時に観察された。つぎに、酸性化細胞群と非酸性化細胞群とを分取してDNA鎖切断の有無を調べたところ、酸性化細胞群にのみDNA鎖の切断化が認められた。一方、FUdRによる細胞死、DNA鎖の断片化、細胞内酸性化がプロテアーゼ阻害剤によって抑制された。これらのことから、FUdRによるFM3A細胞の細胞死では細胞内酸性化がDNA二本鎖切断酵素の活性化に関係していると考えられた。また、この細胞が死に至る過程の細胞内酸性化とDNA鎖の断片化にプロテアーゼが関連していると推察された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 綿矢有佑: "アポトーシスとエンドヌクレアーゼ" 血液・免疫・腫瘍. 1. 282-287 (1996)
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[Publications] T.Kalutani: "Activation of c-fos and c-jun genes,and protease association in cell death induced with 5-fluoro-2′-deoxyuridine in mouse mammary tumor FM3A cell line" Nucleic Acide Symposium Series. 35. 269-270 (1996)
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[Publications] S.Kankawa: "The endonuclease Srelative to dNTP imbalance death" Nucleic Acids Symposium Series. 35. 270-271 (1996)
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[Publications] S.Takatori: "Antitumor mechanism of 3′-ethynylcytidine (ECyd) and 3′-ethynyluridine (EUrd)" Nucleic Acids Symposium Series. 35. 209-210 (1996)