1996 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子発現制御を指向した核酸認識・変換能をもつ金属錯体の創製
Project/Area Number |
08457623
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
塩谷 光彦 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 教授 (60187333)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 健太郎 岡崎国立共同研究機構, 助手 (40281589)
王子田 彰夫 岡崎国立共同研究機構, 特別協力研究員 (10343328)
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Keywords | 遺伝子発現 / 金属錯体 / 分子認識 / 錯体合成 / 核酸 / 転写調節領域 / チミン塩基 / 塩基対認識 |
Research Abstract |
遺伝子発現制御を目的とする人工機能性分子の創製は、遺伝子疾患とも関連し、現在最も重要な課題の一つである。本研究は、核酸の特定部位を標的とする新しい機能性金属錯体を創製し、これらの相互作用を分子レベルで追求することを目的とした。 (1)遺伝子プロモーター領域のATクラスター部位を融解する金属錯体の合成:チミン塩基に選択的に結合する亜鉛錯体が、ウイルスDNAの転写領域に存在するTATAboxを含む19merDNAの二本鎖構造を不安定化し、その融解温度を低下させることを見出した。これは亜鉛錯体特有のもので、銅錯体やニッケル錯体の場合には、逆に融解温度を上昇させた。現在、イミノプロトンNMRによりAT塩基対の解離過程を解析した。その結果、亜鉛錯体は最初にATクラスター部位に結合し、その部分の高次構造の対称性を著しく低下させることを見出した。また、AT塩基対の両塩基に同時に結合することが期待されるBifunctionalな金属錯体も合成した。 (2)DNAの特定部位に結合するオリゴペプチド-金属錯体の合成:DNA-蛋白質相互作用のプローブとして、DNAの転写調節領域の回文配列に結合することが期待される酸化還元活性なオリゴペプチド-金属錯体の合成を進めた。これまでに、金属イオンまわりの11量体ペプチド(GMGGMCCMGGMG、メチオニンの残基が配位子)を液相法および固相法で合成し、銅および白金錯体の合成と物性、溶液内挙動について検討している。
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