1998 Fiscal Year Annual Research Report
標的遺伝子組換えによる遺伝性アミロイドーシスの発症機構の解析と治療法の検討
Project/Area Number |
08457628
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Research Institution | 山梨医科大学 |
Principal Investigator |
前田 秀一郎 山梨医科大学, 医学部, 教授 (10117244)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 梧郎 山梨医科大学, 医学部, 助手 (60177441)
馬渕 正 山梨医科大学, 医学部, 助手 (80150308)
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Keywords | アミロイドーシス / トランスサイレチン / 疾患モデルマウス / 血清アミロイドP成分 / 標的遺伝子組換え / 胚幹細胞 / 家族性アミロイドポリニューロパチー / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
1. 血清アミロイドP成分(SAP)が、家族性アミロイドポリニューロパチー(Familial Amyloidotic Polyneuropathy;FAP)の発症に関与するか否かを明らかにするため、標的遺伝子組換え法を用いて作製した無SAPマウスとFAPの病因となるヒト変異(トランスサイレチン)ttr遺伝子(ttrMet30)とを運ぶFAPのトランスジェニックマウスモデルとを交配させ、SAPを欠損し、ヒトTTR Met30を合成するマウス株を確立した。今後月齢を追って、このマウス株とSAPとヒトTTR Met30の双方を合成する従来のトランスジェニックマウスモデルとで、ヒトTTR Met30から成るアミロイド沈着の時期や程度に差異があるかどうかを調べる。 2. 無SAPマウス株と対照野生型マウス株とにAAアミロイドーシスを惹起し、これらマウス脾中のAAアミロイドの構成成分を光学顕微鏡を用いて、免疫組織化学的に比較解析し、またその超微細構造を電子顕微鏡を用い、急速凍結・ディープエッチング法で比較観察した。この結果、両者に沈着したアミロイド線維の構造に顕著な差異を見出した。また、無SAPマウス株と対照野生型マウス株とに沈着したAAアミロイドの吸収実験を行い、両者でアミロイドの吸収速度に明確な差異を認めなかった。この実験結果は、血中のSAPレベルを下げる方策は、アミロイドーシスの予防法としては有効かも知れないが、一旦沈着したアミロイドを吸収され易くするための治療法としては、有用とは考えにくいことを示唆する。 3. 標的遺伝子組換え法を用いて作製した一対のttr遺伝子の一方のアレルに点変異が導入されたヘテロ接合体マウス株を多数揃えた。今後月齢をおって、アミロイド沈着の有無を解析する。 4. 若年発症の劇症型FAPを惹起するヒトttrLys54遺伝子を運ぶトランスジェニックマウスを作製するため、剖検FAP患者肝の遺伝子ライブラリーを作製した。
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[Publications] Honda S.et al.: "Disruption of sexual behavior in male aromatase-deficient mice lacking exons 1 and 2 of the cyp19 gene." Biochem Biophys Res Commun. 252(2). 445-449 (1998)
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[Publications] Isoe S.et al.: "Resistance to growth inhibition by transforming growth factor-β in malignant glioma cells with functional receptors." J Neurosurg. 88(3). 529-534 (1998)
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[Publications] 前田秀一郎: "アミロイドーシス(2版)" 中外医学社(一瀬 白帝、鈴木 宏治編著. 図説 分子病態学)東京, 510 (1998)