1996 Fiscal Year Annual Research Report
内向き整流カリウムチャネルのポリアミン受容体の解析と新しい潜在的薬物作用点の検討
Project/Area Number |
08457636
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山田 充彦 大阪大学, 医学部, 助手 (10263237)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯本 正二郎 大阪大学, 医学部, 助手 (80273671)
内匠 透 大阪大学, 医学部, 助手 (00222092)
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Keywords | 内向き整流カリウムチャネル / ポリアミン / 拮抗剤 |
Research Abstract |
内向き整流カリウム(Kir)チャネルの内向き整流特性は、細胞内Mg^<2+>とポリアミンによるブロックで生じる。従来、ポリアミンブロックは、Kirチャネルの内因性ゲート機構と見なされてきた。心筋細胞のIK1チャネルで、Mg^<2+>ブロックと内因性ゲート機構はともにチャネルをnonconductingの状態にするが、ともに同一の開口状態に作用して相互に排除的に作用することが解かっている。今回我々は、心筋細胞のIK1チャネルに相当するKirクローンIRK2をヒト胎児腎細胞由来株HEK293Tに過剰発現させ、パッチクランプ法でこのチャネルにおけるMg^<2+>とポリアミンの連関を検討した。IRK2チャネルはホールセル・セルアタッチドパッチで強い内向き整流特性を示したが、Mg^<2+>非存在下で構成したインサイドアウトパッチ内で内向き整流特性をほぼ完全に失った。カリウム平衡電位(この実験条件では0mV)より陽性の膜電位で、細胞内Mg^<2+>は単一電流コンダクタンスを減少させ、一方ポリアミンの一種スペルミンは開口確率を低下させ、IRK2チャネルの内向き整流特性を再現した。Mg^<2+>とスペルミン両者を同時に投与すると、各膜電位における内向き整流特性の強さおよび時間依存性は、それぞれを単独に投与したときの中間となった。我々は、Mg^<2+>とスペルミンをそれぞれ単独で投与したときのデータから、各膜電位におけるMg^<2+>とスペルミンのIRK2チャネルに対する結合・解離速度定数を求めた。そして、Mg^<2+>とスペルミンがIRK2チャネル上の同一部位に拮抗的に結合すると仮定すれば、両者共存下のIRK2チャネルの内向き整流特性が予測されることを示した。このことは、Mg^<2+>のようなカチオンがKirチャネルのポリアミン受容体上でポリアミンの拮抗剤となりうることを示しており、この受容体に作用する薬剤開発のヒントになると思われる。
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Research Products
(1 results)