1997 Fiscal Year Annual Research Report
看護技術の生体に及ぼす効果の解析-清拭技術の摩擦方向および温度の効果-
Project/Area Number |
08457644
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
松田 たみ子 東京医科歯科大学, 医学部, 助教授 (60239035)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菱沼 典子 聖路加看護大学, 看護学部, 教授 (40103585)
小泉 仁子 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (20292964)
三隅 順子 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (80282755)
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Keywords | 看護技術 / 清潔ケア / 摩擦方向 / 温度(温熱)刺激 / 摩擦方向 / 皮膚温 / 皮膚血流 / 自律神経 |
Research Abstract |
清拭ケアに関与する温度や摩擦等の要因が身体に及ぼす効果の検討の結果、温度の違いは皮膚血流に異なる影響を及ぼし、左右が同様の変化を示したことから、右前腕部という局所への刺激が、何らかの形で全身へ影響を及ぼすことが推察された。 この結果から、全身への影響には自律神経系が関与していると推測し、これまでの皮膚温・皮膚血流に加えて、自律神経系への影響を含めて、温度刺激の影響を検討した。また、快適感は自律神経系の関与と関連する要素でもあり、主観的間感覚も検討した。 温度刺激は35・43・50℃の3種とし、処置は各温度の湯で絞ったウォッシュクロスを前腕部(手首から肘関節)に1分間当てた。血流量と皮膚温は、レーザー血流量計(アドバンス社:ALF21)とバイオパック基礎医学研究システム(バイオパック社)を用い、自律神経系は、バイタリズム9821(NECメディカルシステムズ)を用いて、心電図R-R間隔の変動係数(CV)の解析による方法で測定した。主観的感覚はビジュアルアナログスケールで評価した。 皮膚血流は各温度とも処置直後20秒まで下がり、40秒後で前値に戻る変化を示し、これは左右同様であった。CVも温熱刺激の直後に低下しその後上昇しほぼ処置前の状態となった。しかし皮膚温はほとんど変化が認められなかった。主観的評価では、タオルを当てたときに快適なのは体温より少し高い43℃であったが、処置後の効果では50℃と高い温度が快適との評価を得た。これらのことから温熱処置中は温熱の刺激により一時的に交感神経が優位状態になるが、まもなく前状態、すなわち相対的な副交感神経優位状態となることが示された。 今後摩擦の力の大きさ・方向、対象条件等を加えて身体への効果を科学的に解明できれば、その成果は心身に効果的な清拭を実施する際の根拠となると考えている。
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