1996 Fiscal Year Annual Research Report
看護技術の自立神経系への影響に関する研究-腰背部温罨法に焦点を当てて-
Project/Area Number |
08457651
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | St. Luke's College of Nursing |
Principal Investigator |
菱沼 典子 聖路加看護大学, 看護学部, 教授 (40103585)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 たみ子 東京医科歯科大学, 医学部, 助教授 (60239035)
横山 美樹 聖路加看護大学, 看護学部, 講師 (70230670)
操 華子 聖路加看護大学, 看護学部, 講師 (40209739)
香春 知永 聖路加看護大学, 看護学部, 助教授 (30194947)
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Keywords | 温罨法 / 腸蠕動促進 / 自律神経 |
Research Abstract |
臨床経験上、腰背部への熱布による温罨法は、排便・排ガスを促進し、腹満の改称に効果があるといわれているが、温罨法が腸蠕動に影響する生体内のメカニズムや、効果の確率等は未解決のままであった。腰背部温罨法が腸管の運動を促進することは、腸音の実験記録から明らかにすることができたが、そのメカニズムとして、皮膚への温熱刺激が自律神経系を刺激する体性-内臓反射が起こっているという仮説のもとに、腰背部温罨法による自律神経系の動きの測定を試みた。 指標として皮膚血流・皮膚温・皮膚電気抵抗・心拍変動を取り上げ、測定技法と解析法を検討した。その結果、皮膚血流の増加と皮膚温の上昇は明らかであったが、この測定法から自律神経の反応を直接証明する事はできなかった。次に皮膚電気抵抗による交感神経系の反応を測定した。60℃程度のかなり熱いタオルを貼用するにもかかわらず、皮膚電気抵抗の変動は小さいことが明らかになった。臥位から座位になったときの変動を対照実験として行ったが、腰背部温罨法は座位になったときの約29%の変動幅にすぎなかった。このことから熱布による腰背部温罨法は、交感神経系への刺激は小さいと考えられた(これは第16回日本看護科学学会で発表した)。したがって皮膚電気抵抗からだけでは、自律神経系の反応を見ることは困難であろう。そこで自律神経系の動きを見る有力な指標として、心拍変動を取り上げた。心臓を介した自律神経系の動きであるが、心拍変動の解析は交感神経系と副交感神経系の活動量の測定が可能であり、現在この方法で自律神経系の変動を測定しているところである。 今後の研究によって、皮膚に与える刺激が生体内の調節機能に作用することが証明されれば、多くの看護技術の効果の解明の一つの方向性が示せると考えている。
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Research Products
(1 results)