1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08458015
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
白山 正人 東京大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (50171054)
|
Keywords | 運動準備電位 / Negative Slope / 運動関連脳電位 / 大筋運動 |
Research Abstract |
随意運動前後に見られる脳電位の変化である運動準備電位等に関し、従来多くの研究がなされてきた。その時に用いられた運動は、手や足による限局的運動(小筋運動)であり、重心の大きな移動を伴う全身的運動(大筋運動)に関しては、測定法の限界から、ほとんど研究されてこなかった。 本研究では、歩行、走行、跳躍などの大筋運動について、テレメータ法を用い、リ-ド線の動きによる基線の変動を伴わずに運動準備運動等の測定を行った。 その結果、随意運動に先行して見られる陰性電位である運動準備電位が、大筋運動でも同様に現れることが判明した。随意運動開始に対する中枢内準備過程は、運動の種類によらず共通に認められた。 運動準備電位に次いで出現する急峻な陰性方向の電位は、Negative Slope(NS)と呼ばれている。NSは運動皮質の錐体路ニューロン活動によるとされている。本研究では、大筋運動においても同様の電位変化を認めた。NSは動作しているのと反対側の運動皮質上に局在していた。 このようなことから、随意運動に先行する運動関連脳電位は、少数の筋肉しか使わない小筋運動においても、多数の筋肉が関与する大筋運動においても出現することが明らかになった。 それゆえ、テレメータシステムを用いた無拘束な条件下で、大筋運動という身体運動時に、脳内生体情報処理について探ることができるといえる。
|