1996 Fiscal Year Annual Research Report
近赤外分光法による急性低圧低酸素環境下の運動時局所筋酸素動態と高所身体適性
Project/Area Number |
08458020
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | 九州芸術工科大学 |
Principal Investigator |
菊地 和夫 九州芸術工科大学, 芸術工学部, 助教授 (90195199)
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Keywords | 組織酸素飽和度 / 近赤外分光法 / 動脈血酸素飽和度 / 総ヘモグロビン量 / 高所身体適性 |
Research Abstract |
本研究課題である『近赤外分光法による急性低圧低酸素環境下の運動時局所筋酸素動態と高所身体適性』の遂行のため、まず、3波長2受光方式を採用している近赤外分光法による組織S02・Hb量モニター測定装置を選定・購入した。また、近赤外分光測定装置からのアナログデータ(組織酸素飽和度および総ヘモグロビン量)をデジタル変換し、パソコンに直接リアルタイムで取り込むことが可能なアナログ・デジタルデータ変換記録装置(マック・ラブ)も購入した。この装置を介して前述の2データとパルスオキシメーターによる動脈血酸素飽和度・心拍数および低圧シミュレーター装置による高度変化の計5データを連続的に記録・収集可能なシステムを構築した。ところで、低酸素環境下においては、最大酸素摂取量の大小よりも局所筋活動部位の酸素動態の方がより重要性が高いことを示唆されているが、その詳細なメカニズムについては未解明である。そこで、本研究課題の初年度に当たる本年度は、まず、一般健常成人男性5人における常圧下の安静時及び運動時局所筋酸素動態について検討を行った。また、一流登山家2人については、急性低圧低酸素環境下(3500m〜6000m相当高度)における安静および運動時局所筋酸素動態について検討を行った。また、全員について漸増負荷法により安静時から最大運動時までの酸素摂取量および外側広筋上に装着した近赤外分光測定装置のセンサーから得られる組織血液酸素飽和度、総ヘモグロビン量、動脈血酸素飽和度も連続記録した。以上の実験結果から、常圧下および急性低圧低酸素環境下における局所筋活動部位の酸素動態には、個人差が大きいことが認められた。また、急性低圧低酸素環境下における局所筋酸素動態は、高度の上昇に伴う組織酸素飽和度の低下が大であり、さらに、組織酸素飽和度と動脈血酸素飽和度の低下度が高所身体適性と関連性のあることが示唆された。
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