1997 Fiscal Year Annual Research Report
近赤外分光法による急性低圧低酸素環境下の運動時局所筋酸素動態と高所身体適性
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08458020
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Research Institution | 九州芸術工科大学 |
Principal Investigator |
菊地 和夫 九州芸術工科大学, 芸術工学部, 助教授 (90195199)
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Keywords | 近赤外分光法 / 組織酸素飽和度 / 総ヘモグロビン量 / 高所身体適性 / 動脈血酸素飽和度 |
Research Abstract |
本研究課題である『近赤外分光法による急性低圧低酸素環境下の運動時局所筋酸素動態と高所身体適性』の遂行のため、本年度は、まず実験1として、鍛錬度の違いが運動時局所筋酸素動態に及ぼす影響を検討した。一般健常男子7人および鍛錬者7人を用い、常圧下において漸増負荷法により安静時から最大運動時までの酸素摂取量および外側広筋上に装着した近赤外分光測定装置のセンサーから得られる組織血液酸素飽和度、総ヘモグロビン量、動脈血酸素飽和度も連続記録し、その時の局所筋酸素動態を比較検討した。また、併せて、運動の2分ごとに血中乳酸を測定し、局所筋酸素動態との関連性についても検討を加えた。さらに、実験2として、一般健常男子5人を用いて、常圧下、2000mおよび4000m相当高度下の急性低圧低酸素環境下において実験1と同様に最大運動を行わせ、その時の局所筋酸素動態に関する測定を行い、高度の影響を比較検討した。実験1の結果から、鍛錬群では局所筋酸素飽和度が非鍛錬群よりも有意に低く、また、(酸素飽和度-筋酸素胞和度)が有意に高いことから、鍛錬者群の方がより筋内の酸素の抜き取りが高いものと推察され、このことが同一運動負荷時における血中乳酸の低値と関連しているものと考えられた。また、実験2の結果から、低酸素環境下における局所筋酸素動態は、酸素分圧の低下に応じて組織酸素飽和度も低下すること、血中乳酸蓄積開始点も高度の上昇に伴い短縮し、運動時血中乳酸動態も酸素分圧の低下に依存していることが認められた。以上の結果から、急性低圧低酸素環境下における局所筋酸素動態は、高度の上昇に伴う組織酸素飽和度の低下が大であり、さらに、組織酸素飽和度と動脈血酸素飽和度の低下度が高所身体適性と関連性のあることが示唆された。
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