1998 Fiscal Year Annual Research Report
近赤外分光法による急性低圧低酸素環境下の運動時局所筋酸素動態と高所身体適性
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08458020
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Research Institution | Kyushu Institute of Design |
Principal Investigator |
菊地 和夫 九州芸術工科大学, 芸術工学部, 助教授 (90195199)
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Keywords | 組織酸素飽和度 / 総ヘモグロビン量 / 動脈血酸素飽和度 / 近赤外分光法 / 高所身体適性 |
Research Abstract |
本研究課題である『近赤外分光法による急性低圧低酸素環境下の運動時局所筋酸素動態と高所身体適性』の遂行のため、一般健常男子学生8人を被検者として常圧下(760mmHg)および4000m(462mmHg)相当高度下において、漸増負荷法を用い最大運動負荷テストを行った。安静時から最大運動時まで、酸素摂取量および外側広筋上に装着した近赤外分光測定装置のセンサーから得られる組織血液酸素飽和度、総ヘモグロビン量、動脈血酸素飽和度を連続記録し、その時の局所筋酸素動態を比較検討した。また、併せて、運動の2分ごとに血中乳酸および運動開始前および終了直後に血液ガス関連項目についても測定し、局所筋酸素動態との関連性についても検討を加えた。 これらの結果、動脈血酸素飽和度は常圧下安静時の平均約98%から4000m相当高度下安静時では平均76%と、約22%の低下を示した。4000m相当高度下では運動強度の上昇に伴いさらに低下した。4000m相当高度下における筋組織酸素飽和度は常圧下に比し低値を示し、運動強度の上昇に伴い漸減する傾向が認められた。また、動静脈酸素較差を示すと考えられる(酸素飽和度-筋酸素飽和度)は有意に低圧低酸素環境下で低く筋組織への酸素の取り込み能の低下を示唆しているものと推察された。また、4000m相当高度下における安静時および運動時の血液酸性度(pH)は常圧下と比較し有意に高値を示したが、血中二酸化炭素分圧は逆に常圧下の方が高値を示した。 これらの結果は、急性低圧低酸素環境下における最大運動時筋組織内酸素動態が酸素分圧の低下に伴う血中酸素飽和度の低下に依存し、筋組織内における酸素のextraction能の大小が低圧低酸素環境下における身体パフォーマンスを規定する一因子であることが推察された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kazuo Kikuchi: "Oxidative metabolism in skeletal muscle during maximal exercise by near-infrared spectroscopy under acute hypobaric hypoxia." Abst.from The 3rd World Congress of moutain Medicine and Physiology.89-89 (1998)
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[Publications] 菊地和夫: "急性低圧低酸素環境下における最大運動時筋内酸素および血中乳酸動態" 第2回高所トレーニング国際シンポジウム'99. 32-32 (1999)