1997 Fiscal Year Annual Research Report
衛星画像による東アジアの都城の復原に関する歴史地理学的研究
Project/Area Number |
08458026
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Research Institution | International Research Center for Japanese Studies |
Principal Investigator |
千田 稔 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (20079403)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小方 登 奈良女子大学, 文学部, 助教授 (30160740)
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Keywords | 衛星画像 / 新羅 / 王京 / 百済 / 慶州 / 扶余 / 偵察衛星 / 渤海 |
Research Abstract |
昨年度の中国都城の衛星画像(フランスspotなどを用いる)の研究を受けて、今年度は、朝鮮半島古代の王京に同じ方法を適用することを試みた。その結果次のような問題点が検討課題となった。画像については、一部奈良女子大小方研究室所蔵のものも用いた。 (1)新羅の王京慶州については、いままで地形図によってプランの復原試案がだされていたが、今回の衛星画像による試みにおいても、必ずしも細部にわたって復原できることはできなかった。しかし、数カ所にわたって地形図では明確でなかった方格地割の痕跡が判読できた。そのため、解像度を高めることによって、衛星画像による古代歴史地理の景観復原はより精度の高いものになることが期待できると判断した。 (2)百済の王京扶余についても方格地割からなる都市プランが実施されていたかどうかは、古代朝鮮半島の都市研究の大きな関心事であった。今回もそのような観点から衛星画像による判読を試みた。その結果、中心軸となる南北道路についてはその痕跡が読みとれたが、全体にわたっては、より解像度の高い画像を必要とすることが認識された。 (3)そのような試行錯誤の過程において、われわれは、1960年代の米軍が撮影した偵察衛星の写真が頒布を実施した情報を得た。試みにそれを入手したところ、気候条件の良好なときに撮影されたものについては、従来の空中写真と比較してもほとんど遜色がないほど地上景観が鮮明に読みとれることを知った。今回は試験的に、渤海の東京城付近について都城プランの解析を試みた。その結果、方格地割からなる都城の形態が明白に判読でき、かつて千田が発掘調査の実測図から復原した結果と比較しうる成果を得た。 (4)以上のような展望をえることができたため、われわれはあらためて、中国・朝鮮半島の偵察衛星写真の入手のための準備をし、成果報告を公表する計画をしつつある。
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Research Products
(1 results)