1997 Fiscal Year Annual Research Report
言語の状況依存性の認知モデルと文脈理解システムの研究
Project/Area Number |
08458082
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
石崎 俊 慶應義塾大学, 環境情報学部, 教授 (00245614)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 むつみ 慶應義塾大学, 環境情報学部, 専任講師 (60255601)
田中 茂範 慶應義塾大学, 環境情報学部, 教授 (50171757)
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Keywords | 自然言語 / 文脈理解 / 認知モデル / 状況依存性 / 連想実験 / 多義現象 / 空間指示語 |
Research Abstract |
本研究の目的は、言語の持つ状況依存性を認知意味論、認知心理学、自然言語処理という三つの観点から研究を進め、それらの成果を統合して語の多義性、曖昧性を扱うための認知モデルの構築とそれを用いた文脈理解システムを構築することである。 本年度は、連想実験の対象を学習基本語彙のうち類義語を除く全データ約800語に拡大して連想実験を実施した。また、概念間の距離を定量的に扱うことを可能にするために、線形計画法を用いた距離の計算法を開発し有効性を確認した。状況を考慮した自然言語処理を実現するために、画像と音声を統合した自然言語処理の実現を目指して、顔画像と自然言語処理の統合、マルチモーダル対話のコーパス構築のための検討を行った。 空間関係を表す英語の前置詞と日本語の空間表現とを比較した。まず日本語の助詞の機能を考察し、日英語の比較の可能性を探り、助詞と前置詞は日英語の文法体系内でどのように異質な役割を演じているかを研究した。英語の前置詞の多義性をどう定式化するという問題を取り上げ、Lexical Network Modelとコア図式論の比較を行い、コア図式論の有効性を論証した。また、周辺空間詞の言語使用における日英語比較を試みた。 今年度はワークステーション上の仮想空間におかれた物体の空間指示表現の曖昧性に関する実験データの質的分析と統計的分析を進めた。空間指示語の曖昧性の原因、使用する情報、処理プロセスのモデル化に必要な基礎情報を得ることができた。また、移動動詞の意味構造について、日本語と英語の母語話が持つ知識、その知識が、第二言語の学習に与える影響についても研究を着手し、データ収集のための実験システムを開発した。
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[Publications] 岡本、石崎: "連想実験に基づく概念間の距離の計算法と概念辞書の構築" 言語処理学会第4回年次大会. B2-4.
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[Publications] 金子、石崎: "マルチモーダル対話コーパスの構築について" 電子情報通信学会 言語理解とコミュニケーション研究会. 97巻594号. 1-8
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[Publications] 木立、石崎: "顔画像を用いた自然言語の曖昧性の解消" 電子情報通信学会 言語理解とコミュニケーション研究会. 97巻594号. 9-16
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[Publications] Imai,Gentner: "A crosslinguistic study on containts on early word meaning" Cognition. 62. 169-200
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[Publications] Imai,Iwata,Ishizaki: "Uncovering the motivation for metaphorical extensions of Japanese verbs of breaking" The 6th International Cognitive Linguistic Conference.
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[Publications] 今井、中西、木立、宮下、石崎: "「前」「後」「左」「右」の意味と視点システム" 認知科学会第13回大会.
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[Publications] 田中茂範、松本曜: "日英語比較選書6空間と移動の表現" 研究社, (1997)
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[Publications] 今井むつみ: "ことばの学習のパラドックス 認知科学モノグラフシリーズ" 共立出版, (1997)