1998 Fiscal Year Annual Research Report
言語の状況依存性の認知モデルと文脈理解システムの研究
Project/Area Number |
08458082
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
石崎 俊 慶應義塾大学, 環境情報学部, 教授 (00245614)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 むつみ 慶應義塾大学, 環境情報学部, 専任講師 (60255601)
田中 茂範 慶應義塾大学, 環境情報学部, 教授 (50171757)
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Keywords | 自然言語 / 文脈理解 / 認知モデル / 状況依存性 / 連想実験 / 多義現象 / 空間指示語 |
Research Abstract |
本研究の目的は、言語の持つ状況依存性を認知意味論、認知心理学、自然言語処理という三つの観点から研究を進め、それらの成果を統合して語の多義性、曖昧性を扱うための認知モデルの構築とそれを用いた文脈理解システムを構築することである。 本年度は、基本名詞語撃彙を刺激語として得られた連想語に基づいて、文脈情報を直接表す連想語や、名詞に対する動作概念の連想語などを対象に、刺激語と連想語の距離を定量的に計算する方式を開発して文脈理解システム構築のための基礎を研究した。また名詞の持つイメージを属性に関する連想語から抽出し、名詞の周りの状況をイメージとして定量化し、自然言語処理へ応用するための基礎データを収集し、システム化の見通しを得た。 基本語彙の概念形成に関する言語学的なモデル化を行った。この概念形成モデルの特徴は、基礎レベル仮説に「差異化」 「一般化」「典型化」の3つの認知プロセスを組み込むことで、一般名詞の概念形成と抽象(及び集合)名詞の概念形成との関係を明示的に示すと同時に、プロトタイブ(典型概念)の形成に2つの経路があることを示したことである。 認知心理学から文脈に基づく意味の曖昧性を捕える研究では、空間指示表現の曖昧性を、方向の基準の取り方に基づく人間の言語使用の仕組みを明らかにした。また、幼児が名詞の持つ意味の曖昧性を捕えて、概念を学習し発達していく機構を、概念のカテゴリー化にするいくつかの原理を用いて説明できることを系統的に示した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 岡本潤,石崎俊: "概念辞書の構築と概念空間の定量化-連想実験による概念空間の抽出-" 情報処理学会 自然言語処理研究会. 130-11. 81-88 (1999)
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[Publications] 安藤まや,石崎俊: "名詞と形容詞における共起関係の研究-連想実験に基づく定量的アプローチ-" 電子情報通信学会思考と言語研究会技術研究報告書. TL98-26. 51-58 (1993)
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[Publications] 田中茂範: "事態構成と概念形成の過程:意味づけ論の観点から" 電子情報通信学会思考と言語研究会技術研究報告書. 98-178. 1-8 (1998)
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[Publications] Imai,M: "Constraint on Word learning" Japanese Psychological Research. 41-1(印刷中). (1999)
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[Publications] Imai,M.,Haryu,E.: "Word learning without aid from syntax" Proceedings of the 23rd Boston University Conference on Language Development. (印刷中). (1999)
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[Publications] Imai,M.,Nakanishi,T.,Miyashita,H.,Kidachi,Y.,Ishizaki,S.: "The meanings of FRONT/BACK/LEFT/RIGHT" 認知科学. (印刷中). (1999)
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[Publications] 田中茂範・深谷昌広: "意味づけ論の展開:情況編成・コトバ・会話" 紀伊國屋書店, 390 (1998)