1997 Fiscal Year Annual Research Report
兵庫県南部地震における衝撃的地震動と構造物破壊の究明
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08458104
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
中川 康一 大阪市立大学, 理学部, 教授 (80047282)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
那谷 晴一郎 大阪市立大学, 工学部, 助手 (20047369)
小林 治俊 大阪市立大学, 工学部, 助教授 (40047395)
園田 恵一郎 大阪市立大学, 工学部, 教授 (70047108)
東田 淳 大阪市立大学, 工学部, 助教授 (90128744)
高田 直俊 大阪市立大学, 工学部, 教授 (50047239)
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Keywords | 兵庫県南部地震 / 衝撃的地震動 / P波非線形特性 / 引張り破壊 / FEM波動解析 / モデルシミュレーション / 模擬地盤計測 / 体感調査 |
Research Abstract |
兵庫県南部地震では,衝撃的鉛直動によって破壊したとみられる構造物の位置や,そのような地震動を経験した証言者の居住範囲は気象庁震度7の地域とほぼ一致しているが,この地域には地震記録はほとんどなく,鉛直動についての詳しい波形情報は得られていない. しかし,本研究組織の構造工学を専門とするグループは,現地調査で得た多くの構造物に関する破壊モードの分析を行った.その結果,高架橋の鉄筋コンクリート(以下,RCと略称する)橋脚,地下鉄駅舎のRC柱,RC建築物の中間層の破壊等は,硬質地盤に支えられた基礎工からの衝撃的な突き上げ力によって発生したものであるとの結論を得るに至った.これを検証するために,モデル実験によって破壊モードの再現を試み,数値解析によって破壊モードと入力動との関係を調べた.さらにモデル実験に基づいた数値解析によっては,衝撃的破壊が実物大モデルで発生するために必要な入力地震動の条件について検討した. 一方,地質および地盤を専門とするグループは,強震域およびその周辺の地下構造や地盤特性の解析を行い,これらと同地区に居住する多くの市民が体験した衝撃的鉛直動(または力)との関係を調べた.また,地盤の非線形特性,とくに地表面の鉛直地震動と深く関わる地盤のP波の非線形特性に着目した研究を行った.これらの結果から,衝撃的鉛直動は,下方からの強烈なSV波が地表面付近の地層境界でP波に変換される際,非線形効果によって,短周期化されて生成されたと推定された. 以上のことにより,今回の兵庫県南部地震のような直下型地震では,衝撃的な鉛直地震の卓越する地域が地盤条件によって局所的に存在し,これが構造物の引張り破壊を生じさせた可能性があることを指摘した.
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Research Products
(16 results)
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[Publications] 中川康一: "軟弱地盤の非線形性に関する実験的研究" 重点研究発表会第2回都市直下地震災害総合シンポジウム. (1997)
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[Publications] 中川康一: "泥岩の密度特性と続成作用" 岩の力学国内シンポジウム講演論文集. 263-268 (1998)
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[Publications] 中川康一: "地震動を規制する大阪盆地の地下構造要素-特に断層近傍の被害に関連して-" 地質学論集. (印刷中). (1998)
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[Publications] 中川康一: "大阪堆積盆地基盤構造特性" 阪神・淡路大震災調査報告. (印刷中). (1998)
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[Publications] 中川康一: "大阪平野の重力異常と基盤構造" 物理採査. 51・1(印刷中). (1998)
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[Publications] K.Nakagawa: "Development of Electrical Resistivity Measurement system of solls for laboratory and field use" Nondestructive and Automated Testing for Soil and Rock preperties ASTM STP 1350. (in press). (1998)
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[Publications] 高田直俊: "衝撃的上下動による構造物被災" 大阪市立大学工学部紀要・震災特別号. 157-162 (1997)
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[Publications] 高田直俊: "土構造物の被害・宅地" 阪神・淡路大震災調査報告(丸善). (印刷中). (1998)
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[Publications] J.Tohda: "Investigation on Cracking in Baried Pipelines in Centrifuge" Proces of Geotechnical Engineering in Recovery from Urban Earthquake Disaster. 357-366 (1997)
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[Publications] 東田 淳: "ライフラインの被害について" 大阪市立大学工学部紀要・震災特別号. 115-130 (1997)
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[Publications] 園田恵一郎: "兵庫県南部地震-初期鉛直動の証言について" 大阪市立大学工学部紀要・震災特別号. 187-270 (1997)
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[Publications] 園田恵一郎: "地震による土木構造物の衝撃的被害について" 兵庫県南部地震における構造物の衝撃的破壊に関するシンポジウム(日本建築学会). 37-44 (1997)
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[Publications] H.Kobayashi: "Fracture analysis of bridge RC piers under impulsive seismic loadings" Proc. of 2nd Asia-Pacific Conference on shock and Impact Loads on Structures,Melbourne,Nov.1997. 349-356 (1997)
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[Publications] H.Kobayashi: "Impact failure tests of bridge pier models by an underwater explosion method" Proc.of 2nd Asia-Pacific Conference on shock and Impact Loads on Structures,Melbourne,Nov.1997. 515-522 (1997)
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[Publications] 那谷 晴一郎: "兵庫県南部地震による鉄筋コンクリート構造物の層崩壊形式をもつ衝撃的破壊" 兵庫県南部地震における構造物の衝撃的破壊に関するシンポジウム(日本建築学会). 103-108 (1997)
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[Publications] 那谷 晴一郎: "兵庫県南部地震における構造物層崩壊形式をもたらす衝撃波動の印加性" 日本学会近畿支部研究報告集(日本建築学会). 37. 81-84 (1997)