1996 Fiscal Year Annual Research Report
深部地層中における超微細空隙内での超ウラン元素の地球化学と熱力学
Project/Area Number |
08458117
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長崎 晋也 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (20240723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
等々力 賢 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (10270886)
田中 知 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (10114547)
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Keywords | ウラン / レーザラマン分光分析 / コロイド形成 / pH |
Research Abstract |
高レベル放射性廃棄物の地層処分安全評価をおこなう上で、深部地下環境条件における吸着、錯体形成、コロイド形成、沈殿、鉱物化などの放射性核種の地球化学的挙動を解明することは不可欠である。とりわけ、放射性核種の中でもアクチニド元素と地下水コロイドとの相互作用に基づくアクチニド疑似コロイド形成メカニズムを解明することが重要課題と認識されている。これまでおこなわれてきた疑似コロイド形成に関する研究の大部分は、実地下水中の地下水コロイドをサンプリングし、そのコロイドに対するアクチニド元素の吸着量を測定することでおこなわれてきており、それを説明するために表面錯対モデルやイオン交換モデルが提唱されている。しかし、実際のコロイド表面での反応や結合状態を明らかにした研究はない。 本研究では、表面あるいは微細空隙内における結合状態を測定するためにレーザラマン分光分析法を適用して、コロイド粒子表面(コロイド粒子表面は、単純な滑らかな平板ではなく、多くの微細空隙や欠陥その他理想的な状態とは異なった不均質な状態になっている)におけるウラン(VI)の吸着状態を明らかにした。対象としたコロイド粒子は、比較的安定で単分散溶液を作成しやすい金コロイドと銀コロイドとした。その結果、ウランが金コロイド表面に結合する場合には、ウランが加水分解生成物であっても炭酸錯対であっても、ともにウラニルイオンとして吸着しているのに対して、銀コロイドに吸着する場合には、それぞれ液相中の構造を保ったまま吸着していることが示唆された。この結果は、これまでの結合を無視したモデル化研究では説明できない現象である。また、吸着反応に関する熱力学的な考察も加えた。
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