1997 Fiscal Year Annual Research Report
深部地層中における超微細空隙内での超ウラン元素の地球化学と熱力学
Project/Area Number |
08458117
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長崎 晋也 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (20240723)
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Keywords | セリウム / 二酸化マンガン / 蛍光 / 酸化還元 |
Research Abstract |
高レベル放射性廃棄物地層処分の安全評価を行う場合には、特に深部地下環境中における超ウラン元素の化学的挙動の解明とその定量化が不可欠である。深部地下環境中においては、地下水中の溶存酸素量が少なく、還元性雰囲気が達成されていると考えられている。そのような条件下で例えばFe(II)が豊富な鉱物表面に酸化還元反応に敏感なNpやPuが接触した場合、鉱物と地下水との固液界面において酸化還元反応が起こり、超ウラン元素の化学的挙動が予測と異なることが予想される。 本年度の研究においては、岩石表面に選択的に蓄積すると考えられている二酸化マンガンと、超ウラン元素の模擬物質となる3価のセリウムを用い、二酸化マンガンと水溶液との固液界面における酸化還元反応の可能性ならびにそのメカニズムについて検討した。 セリウムの吸着に及ぼす液相のpH依存性を検討した結果、pH=2付近から有意な吸着が起こることが確認された。これは、セリウムの酸化還元反応が起こらないゲ-サイトやアルミナへの吸着がpH=5付近から起こり始めることと顕著な違いとして観測される。セリウムは3価では蛍光を発するが、4価では発しないことを利用して、液相中に残存するセリウムならびに固相に吸着したセリウムの蛍光を測定した結果、二酸化マンガン系では4価、ゲ-サイトやアルミナ系では3価として存在することが確認された。固体としての二酸化マンガンを含まない液相反応では、マンガンによってセリウムが酸化されることはない。従って、本反応は固液界面に特有な反応であり、なんらかの触媒反応の可能性もある。 二酸化マンガン系で脱着実験を行った結果、セリウムはイオンとしてではなく、二酸化マンガン粒子に結合した状態で液相に脱離することが確認され、通常の可逆吸着反応とは異なった特性を示すことがわかった。
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