Research Abstract |
1.高性能アミノ酸樹脂の開発と合成樹脂の物性 ペプチド固相合成法に準じ,アミノメチル及びクロロメチル化ポリスチレン樹脂を基体に,各種保護アミノ酸と擬アミノ酸を縮合導入したアミノ酸樹脂を30種合成した.アミノ酸導入量は約2〜3.7mmol/g-樹脂(導入率73〜100%)で疎水性アミノ酸ほど高導入率となったが,乾燥,湿潤時比重,含水率,IR,イオン交換容量の測定により,合成樹脂の物性を評価した.また,樹脂の酸,アルカリ浸漬,酸洗浄効果,再使用性を検討し,開発樹脂は耐久性を有する高性能樹脂であることを明らかにした。 2.ウラン平行吸着量と選択吸着機能 ウラン平行吸着量はArg-,β-Ala-AMR樹脂では1gU/g-樹脂以上となり,樹脂の高性能化をほぼ達成した.また,吸着性に及ぼす各ウラニル塩の序列は,硝酸<臭素<酢酸<塩素<硫酸≪炭酸となり、炭酸種に極めて大きな吸着活性を認めた.プロトン付加した残基アミノ基が吸着の駆動力となるが,吸着等温式の解析,トリウムや重金属混合系からのマクロ分離,海水マトリックスからのウラン回収により,その選択吸着機能を確認した.今後,繊維状吸着剤への発展が望まれる. 3.ウラン同位体の分離濃縮挙動 樹脂接触による天然ウランの同位体分離濃縮挙動をバッチ法により追跡した.α線測定により各樹脂の^<234>U/^<238>Uの分離係数を決定したが,アミド結合型よりエステル結合型樹脂の濃縮効果が大きく,樹脂内アミノ酸の酸化還元作用が濃縮加速因子となることが示唆された.担持するアミノ酸と溶液,温度条件にもよるが,溶液内酸化還元平衡に較べ330倍,錯化法の8600倍の分離係数を示す樹脂もあった.^<235>U/^<238>Uの分離係数は,ICP-MS法では測定誤差が大きく,有意な評価を行えなかった.この他,海水浸漬ウランを樹脂接触し同位体分離傾向を認めたが,今後,高効率の多段接触分離システムへの適用が待たれる.
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