1997 Fiscal Year Annual Research Report
春季ブルーミングのトリガーとしての沿岸親潮の噴火湾への流入構造の解明
Project/Area Number |
08458139
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
三宅 秀男 北海道大学, 水産学部, 助教授 (60002127)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中谷 敏邦 北海道大学, 水産学部, 助教授 (80188979)
志賀 直信 北海道大学, 水産学部, 講師 (30091466)
斉藤 誠一 北海道大学, 水産学部, 助教授 (70250503)
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Keywords | 春季ブルーミング / 親潮 / セジメント・トラップ / 風による湾内の渦対 / 大型かいあし類ノ-プリウス |
Research Abstract |
親潮の噴火湾への流入に伴う、水塊および流れ、成層などの海洋構造やその変動と、それに伴う低次生産量の変動過程を、係留系(時系列)、リモートセンシング(綜観的)、シートル-ス(鉛直構造)の3つの方法を組み合わせて解明した。その成果は以下の通りである。 1.1997年の親潮の湾内流入は、層厚が薄く、水温や塩分も高かった。現場でのクロロフィルa量やセジメント・トラップによる沈降有機粒子フラックスから3月中旬の植物ブルームは弱かった。これは、上記のように親潮の本流の流入が弱く、成層(静安定度)が弱かったためであると推定した。 2.3月18,19日の海色衛星画像と現場観測から、湾口部の地球岬沖から中央部にかけて植物色素の高濃度域が形成されていた。この高濃度域は湾内に向かう流れを示しており、冬季の季節風が作る渦対による流れが、植物プランクトンの分布に強く関係していることが示唆された。 3.トラップの実験から、混合層が海底に達した時や南東風が吹いた時に堆積物起源の沈降粒子が多く捕捉されていた。これは吹送距離の長い南東風が湾奥部で風波を引き起こし、再懸濁した粒子が渦対による南東流に流されながら沈降し、トラップに捕捉されたものと考えた。 4.トラップの実験から、3月20日前後と4月8日前後に顕著な藻類のブルームが認められた。何れのピークもThalassiosira属が優先したが、その規模は小さかった。また、増殖期間は数日と短く、有光層の細胞はブルーム後凝集して同調的に沈降していると推定された。 5.親潮が流入することによって、スケトウダラ仔魚の主な餌生物である大型かいあし類ノ-プリウスが増加する。特に、胆振沖に産卵場が偏った年には、親潮の流入が良い餌環境を作り、さらに、親潮が効率よく卵や仔魚を噴火湾に輸送し、卓越年級群を生じさせている。
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[Publications] Nishiuchi K.: "Distribution and abundance of chaetognaths along 180° longitude in the northern Pacific Oceanduring the summers of 1982 through 1989." Plankton Bio.Ecol.44・2. 55-70 (1997)
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[Publications] 三宅秀男: "親潮流入時における噴火湾口部の海洋構造と流れについて" 水産海洋研究. 61・2. 123-133 (1997)
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[Publications] 山口 篤: "北海道南西部恵山沖におけるPseudocalanus minutusとP.newnano(Copepoda;Calanoida)の鉛直分布および生活史" 日本プランクトン学会報. 44・1/2. 11-20 (1997)
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[Publications] 植原量行: "風の季節変動に伴う襟裳岬南東沖の親潮の応答" 海と空. 72・1. 21-29 (1996)
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[Publications] Uehara K.: "Characteristics of the Hows in the Oyashio area off Cape Erimo,Hokkaido,Japan." Jour.Oceanogr.53・2. 93-103 (1997)
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[Publications] Saitoh S.: "Seasonal variability of Phytoplankton pigment Concentration in the Oknotsk Sea." 日本リモートセンシング学会誌. 16・2. 86-92 (1996)