1996 Fiscal Year Annual Research Report
DNA損傷やストレスに対する細胞応答へのP53遺伝子の関与
Project/Area Number |
08458159
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
石崎 寛治 愛知県がんセンター, 放射線部, 部長 (70111987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀崎 洋 愛知県がんセンター, 放射線部, 主任研究員 (80280808)
大塚 健三 愛知県がんセンター, 放射線部, 室長 (40150213)
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Keywords | p53 / DNA損傷 / ストレス / 細胞応答 / 熱応答 / アポトーシス |
Research Abstract |
細胞がDNA損傷や種々のストレスに曝されたときに示す反応にp53遺伝子が関与しているか明らかにするためにp53ノックアウトマウス由来細胞について解析した。DNA損傷後の細胞の生存率や突然変異の誘発頻度にはp53遺伝子機能の存否は影響を与えなかったが、誘発される突然変異に質的な違いが観察され、DNA損傷による突然変異の誘発経路にp53遺伝子が関与していることが明らかになった。放射線によって誘発される染色体異常は微量な放射線の前照射によって減少するという適応応答反応が知られているが、p53遺伝子機能を欠損した細胞ではこの反応が見られず、放射線に対する適応応答にもp53遺伝子が関与していることが明らかになった。 ストレスや放射線に対する反応の一つに熱ショック蛋白の誘導があるが、これにp53遺伝子が関与しているか知るために、熱ショック蛋白の一つであるHSP40のゲノムシークエンスを決定しその調節領域等について解析した。HSP40遺伝子のプロモーター部分には基本的転写因子であるSP1や熱ショック因子の結合配列が複数個検出されたが、p53蛋白の結合配列は存在しなかった。 p53遺伝子はリンパ球系の細胞等のストレスによるアポトーシスの誘発に関与することが知られているがこの経路について解明するために温度感受性のp53遺伝子を持ったリンパ球系細胞を樹立し解析した。この細胞でp53遺伝子によるアポトーシスを誘発した際には、通常のアポトーシスに関与することが知られているbax、fas、bcl-2遺伝子の発現に変化は観察されず、p53遺伝子によるアポトーシスには他の経路が関与していることが示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Ishizaki,K.,et al.: "UV-induced mutations of supF gene on a shuttle vector plasmid in p53-deficient mouse cells are qualitatively different from ……" Mutation Res.364. 43-49 (1996)
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[Publications] Tanaka,H.,et al.: "Characterization of p53 gene mutations in esophageal sequamous cell carcinoma cell lines : Increased frequency and different ……" Int.J.Cancer. 65. 372-376 (1996)
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[Publications] Kato,V.M.,et al.: "No significant changes in the expression of the fas,fasl,bcl-2 and bax genes in apoptosis of an erythroleukemic cell line p53." Int.J.Oncol.9. 269-277 (1996)
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[Publications] Hata,M.,et al.: "Genomic cloning of a human heat shock protein 40 (Hsp40) gene and its chromosomal localization to 19p13.2." Genomics. 38. 446-449 (1996)