1997 Fiscal Year Annual Research Report
西表国立公園における自然環境保全と野生生物保護に関する基礎的研究
Project/Area Number |
08458165
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
伊澤 雅子 琉球大学, 理学部, 助教授 (10192478)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土肥 昭夫 九州大学, 理学部, 助手 (80091247)
太田 英利 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 助教授 (10201972)
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Keywords | イリオモテヤマネコ / 西表国立公園 / 野生生物保護 / 環境保全 / テレメトリー調査 / 陸上動物相 / データベース |
Research Abstract |
本研究では、西表国立公園の総合的保全を目的として、イリオモテヤマネコを中心とする西表島に動物相に関する基礎資料と人間活動も含めた環境の評価を行うこととした。その平成9年度の調査内容と研究成果を以下にまとめた。 1.対象地区の一つとした西表島浦内川流域地区のイリオモテヤマネコのテレメトリー法による行動圏、活動量および利用環境の調査資料のとりまとめを行った。オス、メスともに新旧個体の入れ替わりと行動圏の継承過程が明らかになった。また、繁殖に関しては育仔中の母ネコの詳しい行動圏利用様式が得られた。 2.もう一つの対象地区としている後良川流域地区では、昨年度に引き続きイリオモテヤマネコ生息地内の動物相の生息状況調査を痕跡法、ルートセンサス法などにより行い資料をさらに蓄積した。 3.今年度から新たに調査対象地区とした白浜地区では春、夏、冬の3季節に主として方形区法による動物相の定量的な調査を行い季節的変化量を明らかにした。 4.今年度、2頭のイリオモテヤマネコが西表野生生物保護センターに緊急に保護飼育された。この好機を利用して、飼育下におけるイリオモテヤマネコの餌動物の嗜好実験を行い、捕獲行動様式も含めた新しい資料を得ることが出来た。この実験結果は本研究課題のイリオモテヤマネコ生息環境内の動物相の結果と合わせ、特にイリオモテヤマネコの捕食率の検証に用いてまとめる予定である。 5.昨年度に続きイリオモテヤマネコおよび西表島の陸上動物に関する文献、既存資料の収集を継続した。 以上の今年度の成果を踏まえ、最終年度の取りまとめについての計画を検討し、部分的に研究成果の公表の準備を行った。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 伊澤 雅子: "イエネコからのウイルス感染-ツシマヤマネコは生き残れるか?" 科学. 67(10). 705-707
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[Publications] Endo, A.: "Post copulative guarding:mating behavior of non-territorial male sika deer(Cervus nippon)in an enclosure." Applied Animal.Behavior Science.54(2/3). 257-263
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[Publications] 馬場 稔: "ニホンカモシカの糞場利用" Bull.. Kitakyusyu Museum Natural History. 16. 105-111
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[Publications] 土肥 昭夫: "区画法を用いた慶良間諸島におけるケラマジカ Cervus nippon keramaeの生息数推定の試み" 沖縄島嶼研究. 15. 63-72
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[Publications] 土肥 昭夫: "ツシマヤマネコの現在と未来" どうぶつと動物園. 49(9). 288-294
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[Publications] 伊澤 雅子: "沖縄の自然を知る" 築地書館, 269
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[Publications] 土肥 昭夫: "哺乳類の生態学" 東京大学出版会, 264