1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08458168
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
椿 宜高 国立環境研究所, 地球環境研究グループ, 上席研究官 (30108641)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富山 清升 茨城大学, 理学部, 助手 (30272107)
永田 尚志 国立環境研究所, 地球環境研究グループ, 主任研究員 (00202226)
高村 健二 国立環境研究所, 地球環境研究グループ, 主任研究員 (40163315)
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Keywords | 生存力 / 寄生虫 / 免疫 / 左右対称性のゆらぎ / 遺伝的変異 / ヘテロ接合度 / 地域個体群 / 野生生物 |
Research Abstract |
ヒガシカワトンボの雄にはオレンジ翅と透明翅の2つのタイプが存在する。色素の成分を明らかにするため、^<14>Cでラベルしたチロシン、およびトリプトファンを付羽化直後の成虫に経口投与し、6日後の^<14>Cの翅への分布をオートラジオグラフによって観察した。その結果、オレンジ色の正体はチロシンとフェノール酸化酵素から合成されるメラニンであることが確かめられた。メラニンは昆虫の生体防御反応には重要な役割を果たすことが分かっているので、オレンジ翅のオスは色素形成と生体防御反応とに同じ資源をどう配分するかという問題を抱えており、透明オスにはその問題がないことを意味する。そこで、オレンジオスを用いて、栄養摂取量と色素形成、生体防御反応の関係を調べた結果、オレンジ色の濃さは自己の栄養状態(健康状態)表わす信号としての役割があることが示唆された。また、寄生虫保有量も色素形成に影響していることもわかった。このような動物の色彩の測定を通して、個体や集団の生存力を指標化できる可能性が出てきた。 トゲウオの生息域の大きさ(川の長さで表現)と鱗板数の左右の差(対称性のゆらぎ)の集団平均値の関係を調べたところ、きわめて高い負の相関が観察された。マイクロサテライトDNAのマーカーを検索し、集団間の遺伝的変異を比較する準備が整った。 イリオモテヤマネコのMHC領域(免疫に関する遺伝子群)の変異性を検討した。変異がほとんどなく、伝染病伝播に対してきわめて脆弱な集団である可能性が高いことが分った。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Siva-Jothy M.T.: "Decreased immunocopetence as a proximate cost of reproduction in a damselfly." J.Insect physiology. (in press). (1998)
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[Publications] Tsubaki Y.: "Differences in adult and reproductive lifespan in the two male forms of Mnais pruinosa costalis(Selys)(Odonata : Calopterygidae)." Res.Popul.Ecol.39. (1997)
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[Publications] Tsubaki Y.: "Eluctuating asymmetry of the oriental fruit fly(Dacus dorsalis)during the process of its extinction from the Okinawa Islands." Conservation Biology. (in press). (1998)
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[Publications] Tsubaki Y.: "Electuating asymmetry and male mating success in a sphragis-baring butterfly Luehdorfia japonica(Lepidoptera Papilionidae)." J.Insect Behav.(in press). (1998)
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[Publications] 永田尚志: "オオセッカの現状と保全への提言" 山階鳥研報. 29. 27-42 (1997)
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[Publications] Nagata,H: "Some Notes on the Wintering Ecology of Japanese Marsh Warblers,Megalurus pryeri,at Two Sites around Lake Kasumigaura" J.Yamashina Inst.Ornithol.29. 50-56 (1997)
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[Publications] Fujita,G: "Preferable habitat Characteristics of Male Japanese Marsh Warblers Megalurus pryeri in Breeding Season at Hotoke-numa reclaimed Area,Northern Honshu,Japan." J.Yamashina Inst.Ornithol.29. 43-49 (1997)