1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08458172
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松永 茂樹 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (60183951)
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Keywords | 海綿動物 / 腔腸動物 / グリコシダーゼ / ガウクトシダーゼ / 阻害剤 |
Research Abstract |
α-グルコシダーゼに対して顕著な阻害活性を示した八丈島産海綿Penares sp.から2種の活性物質を単離しそれらの構造解析を行った。海綿のメタノール抽出物を水とジクロロメタンで二層分配したところ、どちらの画分にも活性が認められた。そこで、まず、有機層の活性成分の単離構造決定を行った。 ジクロロメタン層を90%メタノールに溶解後ヘキサンで脱脂し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、逆相フラッシュクロマトグラフィー、遠心分配クロマトグラフィー、逆相HPLCおよびシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製しS6215-Aと仮称した化合物を4mg得た。本物質はFABマススペクトルおよびNMRデータなどから、C36H69NO11S2の分子量を持つものと推定した。1HNMRからは2本のメチル基、巨大なメチレンシグナル、ケトンの隣のメチレン、ヘテロ原子に結合した炭素上での水素が5個などの存在などが判明した。一方、13CNMRスペクトルからは、2本のカルボン酸あるいはアミド由来のシグナル、2本の酸素が結合したメチン、窒素で置換されたメチンおよびメチレン、O-メチルなどの存在がわかった。さらに、COSYおよびHOHAHAスペクトルを解析することから、ピペコリン酸メチルエステルが長鎖脂肪酸にアミド結合していることが明らかとなった。なお、NMRデータおよび分子式を考慮すると、長鎖脂肪酸上には分岐メチル基が1つと硫酸エステルが2つ存在する。 一方、水層に存在する活性物質は多数の類似化合物からなる複雑な混合物であった。そのうち、1つの化合物の単離・構造決定を行った。
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