1997 Fiscal Year Annual Research Report
複合酵素活性を有するキメラ型金属蛋白質の分子設計とその反応性
Project/Area Number |
08458175
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
石森 浩一郎 京都大学, 工学研究科, 助教授 (20192487)
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Keywords | キメラ型金属蛋白質 / 遺伝子制御蛋白質 / CooA蛋白質 |
Research Abstract |
本年度は、複合活性をもったキメラ型新規蛋白質、とくに人工的な遺伝子制御蛋白質の分子設計について大きな指針となる、天然における複合活性をもったキメラ型蛋白質、CooA蛋白質、についてその構造を検討し、機能発現のメカニズムについて考察を行った。CooA蛋白質はミオグロビン様のヘム結合部位とヘリックス-ターン-ヘリックスのDNA結合部位からなると考えられている蛋白質で、1996年にはじめて単離、精製された。このCooA蛋白質のNMRスペクトルにおいて高磁場側にポルフィリン環の影響と考えられる多くのシグナルが観測され、また、その予備的な2次元NMRの結果から、ヘム鉄へは従来指摘されていたヒスチジン以外に、アルギニン残基あるいはリジン残基の配位が示唆された。このことは、従来のヘム蛋白質とは大きく異なったヘム近傍構造であることを示しており、CooA蛋白質の機能制御機構を考えるうえで重要な知見である。一方、機能面からの評価として、配位子でありDNA結合活性を誘起する一酸化炭素の結合特性について検討を行った。その結果、見かけ上の結合速度はミオグロビンなどの他のヘム蛋白質類と大きくは変わらないものの、ナノ秒以下の領域での再結合の割合が異常に大きく、ヘム鉄周辺の大きな立体障害が存在し、結合した一酸化炭素の解離が抑制されていることが示された。このことは立体障害の大きな部位に一酸化炭素が結合することにより周辺の蛋白質構造も大きく変化し、その結果、DNA結合部位が形成されるという分子機構を示唆している。以上の結果は、人工的な遺伝子制御蛋白質の分子設計にとって大きな指針となり、当初の目的であった人工的なキメラ型蛋白質の新規合成までは至らなかったものの、ヘム結合部位とDNA結合部位を有する蛋白質の構造のキャラクタリゼーションおよび機能発現の分子機構について十分な知見が得られたものと考えられる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Wakasugi,K., Ishimori,K., Morishima,I.: ""Module"-substituted Globins : Artificial Exon Shuffling Among Myoglobin,Hemoglobin α-and β-subunits" Biophys.Chem.68. 265-273 (1997)
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[Publications] Inaba,K, Wakasugi,K., Ishimori,K., et al.: "Structural and Functional Roles of Modules in Hemoglobin.-Substitution of Module M4 in Hemoglobin Subunits" J.Biol.Chem. 272. 30054-30060 (1997)
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[Publications] Inaba,K., Ishimori,K., Imai,K., Morishima,I.: "Structural and Functional Effects of Pseudo-module Substitution in hemoglobin Subunits : New Structural and Functional Units in Globin Structure" J.Biol.Chem. 272(印刷中). (1998)