1997 Fiscal Year Annual Research Report
新しいホスホリパーゼC活性化経路に関与する蛋白群の同定と機能の解析
Project/Area Number |
08458184
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
本間 好 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (60192324)
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Keywords | 細胞内情報伝達 / イノシトールリン脂質代謝 / GTP結合蛋白質 / ホスホリパーゼC / 細胞内セカンドメッセンジャー / 細胞内骨格系 |
Research Abstract |
現在まで3種のPLCサブタイプ(PLCβ、PLCγ、PLCδ)の存在が明らかにされているが、PLCδに関しては多くの研究者が調節メカニズムや機能の解明に取り組んでいるにもかかわらず、その詳細は未だに不明である。本研究では、申請者らが独自に見いだしたPLCδに結合し且つ活性化する新規タンパク質p122RhoGAPの生理機能を明らかにすることにより、PLCδの活性化機構や生理的意義の解明を試みた。特に本年度は、昨年度の研究で明らかになった「安定なp122過剰発現細胞の作製が困難である」点を重点的に追跡した。その結果、次の事実が判明した。1)p122のGAP領域の組み換えタンパク質をSwiss3T3細胞にマイクロインジェクションし、LPA刺激後アクチンストレス繊維(SF)形成をファロイジン染色で解析したところ、アクチン繊維の分断化が認められた。2)接着斑(FA)に局在するビンキュリン分子に対する抗体と抗リン酸化チロシン抗体でマイクロインジェクトしたSwiss3T3細胞を染色したところ、両抗体が認識するFAの染色性の著しい消失が観察された。3)p122とGFPとの融合タンパク質の発現ベクターを構築して細胞内で一過的に過剰発現させたところ、発現細胞はラウンドアップし付着性が低下した。4)この形態変化や付着性の低下現象は、活性型Pho-Val14を共発現させた場合には認められなかった。5)GAP領域に部位特異的に変異を導入したp122には、形態変化や付着性を低下させる活性は認められなかった。以上の結果より、p122はPhoを不活性化することで、SFやFA形成を負に制御し形態変化や付着性を低下させることが明らかとなった。GAP領域に部位特異的に変異を導入したp122を過剰発現した細胞を用い、p122とPLCδの関連を追究したい。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Honma,M.K.et al.: "Inhibition of phosphoinositide hydrolysis and cell growth of Swiss 3T3 cells by myristoylated phospholipase C inhibitor peptides." J.Biochem.122(4). 738-742 (1997)
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[Publications] Oyama,N.et al.: "Different growth properties in response to epidermal growth factor and interleukin-6 of primary keratinocytes derived from normal and psoriatic lesional skin." J.Dermatol.Sci.16(2). 120-128 (1998)
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[Publications] 無山由己人 他: "リン脂質代謝機構" 化学と工業. 48(5). 361-370 (1997)
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[Publications] 本間 好 他: "ホスホリパーゼC阻害剤" 癌と化学療法. 24(11). 1611-1617 (1997)
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[Publications] Honma,Y.& Emori,Y.: "Signalling by Inositides;A Practical Approach." Stephen Shears edited,IRL Press, 299 (1997)