1997 Fiscal Year Annual Research Report
血漿Mgイオンが関与した新しい血液凝固カスケード機構の研究
Project/Area Number |
08458185
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
森田 隆司 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (90128108)
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Keywords | 血液凝固 / マグネシウム / ビタミンK / 血友病 / 凝固第IX因子 |
Research Abstract |
血液凝固におけるMg^<2+>イオンの関与を考慮し、血液凝固カスケードにおけるIX因子の位置付けを再考慮すると、生理的な凝固カスケードの基本的な流れは組織因子/VII因子→IX因子→X因子→プロトロンビン→フィブリノーゲンの逐次的活性化であると考える。その仮説に基づきMg^<2+>イオン添加系の血液凝固の素反応を解析したところ、このカスケード系がほぼ正しいことを現在、証明しつつある。今回、Mg^<2+>イオンとIX因子が関与した各々の素反応系を詳細に解析することにより、我々が提出した新規な血液凝固カスケード系仮説がほぼ正しいことを明らかにした。 (1)VIIa因子/組織因子によるIX因子活性化へのMg^<2+>の影響:XIa因子によるIX因子活性化(内因系凝固を反映する)に対するMg^<2+>の影響はすでに検討したが、生体内ではVIIa因子/組織因子による活性化機構(すなわち外因系凝固)の方が重要であると現在では考えられている。そこでこのアクチベータ-によるIX因子活性化に対するMg^<2+>の影響を検討した。すなわち、精製した各凝固因子を組み合わせ、Ca^<2+>単独時およびMg^<2+>を共存させたときのIXa因子生成を定量して、速度論的パラメーターの算出を行った。 (2)IXa因子によるX因子活性化へのMg^<2+>の影響:IXa因子/VIIIa因子/リン脂質複合体によるX因子活性化へのMg^<2+>の影響を(1)と同様に速度論的に解析し、より詳細なMg^<2+>の作用の機序を明らかにした。 以上の研究を行うことで血液凝固におけるMg^<2+>の作用を生化学的に解明し、血液凝固系でのMg^<2+>とIX因子の生理的意義を確立した。
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[Publications] 水野 洋 ら: "Structure of coagulation factors IX/X-binding protein, a heterodimer of C-thpe lectin domains" Nature Struct,Biol.4巻. 438-441 (1997)
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[Publications] 山田大介 ら: "Prothrombin and factor X activator activities in the venoms of Viperidae snakes" Toxicon. 35巻. 1581-1589 (1997)
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[Publications] 阿刀田 英子 ら: "CDNA cloning of a heterogeneous two-chain anticoagulant protein IX-bp" Thrombosis Res.87巻. 271-278 (1997)
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[Publications] 鹿本 泰生 ら: "characterization of membrane-assuciated Prothrombin activator in normal and injured murine tissues" FEBS Lett.412巻. 526-530 (1997)
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[Publications] 山田大介 ら: "Purification and characterization of a Ca^<2+>-dependent prothrombin activator, multactivase" J.Biochem.122巻. 991-997 (1997)