1996 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオグリカン、PG-Mの示す抗一細胞接着活性シグナルの伝達機構と細胞機能の解析
Project/Area Number |
08458186
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
木全 弘治 愛知医科大学, 分子医科学研究所, 教授 (10022641)
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Keywords | PG-M / バ-シカン / 抗一接着活性 / コンドロイチン硫酸 / グリコカルフィン / アネキシンVI / 点接着アッセイ / コンドイチン硫酸レセプター / シグナル伝達 / 細胞伸展 |
Research Abstract |
PG-Mの示す抗一接着活性の機構として、Ca^<2+>依存的にコンドロイチン硫酸鎖に結合するレセプター様分子(glycocalfinと命名、その後既知分子、annexin VIそのものである証拠を得た)を介したシグナル伝達系の関与があるとの仮説を提唱し、以下の2点から検証を進めた。 1)glycocalfin/annexin VIの関与の可能性と機構:点接着アッセイ(細胞を基質分子コートU型底の培養皿にまき、遠心することにより細胞と基質分子との結合自体を観察する)と細胞伸展アッセイ(基質分子コート平底培養皿で2時間培養し、細胞伸展能を観察する)の二つの方法を用いて、glycocalfin/annexin VIがコンドイチン硫酸鎖に対するレセプターとして機能しているかを検討した。ヒト上皮細胞A431は、glycocalfin/annexin VI欠損株であり、コンドイチン硫酸鎖基質に点接着できないことが明らかになり、従ってglycocalfin/annexin VIが期待したレセプター機能を持つ可能性が強く示唆された。また、コンドイチン硫酸鎖の共存するフィブロネクチン基質にも接着伸展できるヒト細胞株2種類の存在を見出した。これらの細胞を用いて、研究目的の達成に向けて、glycocalfin/annexin VIのセンスやアンチセンス遺伝子の導入による細胞接着への影響を解析している。さらに、細胞接着によるシグナル伝達系や細胞内骨格系の連動変化を時間経過で解析する方法(接着基質コートビーズ法)を確立して、関連分子の分布やリン酸化の変化を観察し、抗一細胞接着反応に特異なものを調べている。 2)PG-Mの抗一細胞接着活性による細胞挙動調整作用の研究:PG-Mの抗一接着活性の役割を解析するため、コンドロイチン硫酸鎖結合本数の異なるPG-Mスプライスファームが発生段階や組織の変化につれて合成されるとの観察に注目した。コンドロイチン硫酸結合ドメインを欠いたフォーム、PG-M(V3)のcDNAをPG-M発現細胞にトランスフェクションして強制発現させ誘起される変化を観察した。またアンチセンス遺伝子をPG-M産生細胞に導入しその合成を抑制して影響を調べた。さらに、PG-M(V3)を異常発現するトランスジェニックマウスの作製を試み、その性状からも解析を試みた。PG-M(V3)の強制発現安定化細胞においては、発現自体が少なく目立った変化が観察されなかったが、アンチセンス発現細胞では、接着班形成の促進など期待した効果を示した。トランスジェニックマウスについては現在解析中である。
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[Publications] Perris,R.et al.: "Inhibitory effects of PG-H/aggrecan and PG-M/versican on avian neural crest cell migration" FASEB J. 10・2. 293-301 (1996)
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[Publications] Takanosu,M.et al.: "Distribution of chondroitin sulphate proteoglycans and peanut agglutinin-binding molecules during bovine fetal palatine ridge formation." J Anat. 189. 109-115 (1996)
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[Publications] Isogai,Z.et al.: "2B1 antigen characteristically expressed on extracellular matrices of human malignant tumors is a large chondroitin sulfate proteoglycan, PG-M/versican." Cancer Res. 56. 3902-3908 (1996)
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[Publications] Yada,T.et al.: "Transient accumulation of perisinusoidal chondroitin sulfate proteoglycans during liver regeneration and development." J Histochem Cytochem. 44・9. 969-980 (1996)
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[Publications] Mataga,N.et al.: "Establishment of a novel chondrocyte-like cell line derived from transgenic mice harboring the temperature-sensitive simian virus 40 large t-antigen gene." J Bone Miner Res. 11・11. 1646-1654 (1996)
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[Publications] Kurita,K.et al.: "Occurrence of PG-Lb, a leucine-rich small chondroitin/dermatan sulphate proteoglycan in mammalian epiphyseal cartilage : molecular cloning and sequence analysis of the mouse cDNA." Biochem J. 318. 909-914 (1996)
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[Publications] 高木秀和、木全弘治: "細胞基質間接着におけるプロテオグリカンの役割" 実験医学. 14・17. 22-28 (1996)
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[Publications] 杉浦信夫、木全弘治: "GAG-脂質誘導体を用いた細胞接着阻害実験" 細胞工学別冊 実験プロトコールシリーズ グライコバイオロジー実験プロトコール-糖タンパク質・糖脂質・プロテオグリカン-秀潤社, (1996)