1997 Fiscal Year Annual Research Report
基本転写因子TFIIEとTFIIHによる転写の多段階制御と細胞周期への関与の研究
Project/Area Number |
08458198
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大熊 芳明 大阪大学, 細胞生体工学センター, 助教授 (70192515)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前川 隆文 大阪大学, 細胞生体工学センター, 助手 (90273721)
益谷 央豪 大阪大学, 細胞生体工学センター, 助手 (40241252)
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Keywords | 基本転写因子 / RNAポリメラーゼII(PolII) / 転写開始複合体 / TFIIE / TFIIH / CTDキナーゼ / CAK / CDK4 |
Research Abstract |
真核生物では、RNAポリメラーゼII(Pol II)により遺伝子がmRNAへと転写されることが、遺伝子発現の第一ステップである。PoIIIは、5種類の基本転写因子の助けで転写を行なう。基本転写因子TFIIEとTFIIHは、転写開始複合体に最終段階で加わり、複合体の安定化、活性化を行なって転写を開始させ、伸長段階への移行でも、転写開始複合体の解離と伸長複合体の形成に関与する。TFIIEは、2つのサブユニットTFIIEαとTFIIEβがα2β2の4量体を形成している。各サブユニットは、独立に大腸菌で発現でき、可溶性画分にくる。そこで、TFIIEβに欠失変異を作成し、大腸菌で発現後、精製し、基本転写に必要な領域、TFIIEαとの結合領域、他の基本転写因子TFIIB、TFIIβとの結合領域を同定して、これらがTFIIHのCTDキナーゼ活性の促進にも重要なことを明らかにした。 一方、TFIIHでは、精製したTFIIHとその3個のサブユニットで構成される細胞周期調節因子CAKの転写への関与とキナーゼ活性の特異性を比較すると、TFIIHは転写活性を有するのに対し、CAKはこの活性を置き換えられなかった。またキナーゼ活性もTFIIHはPolIIのCTDを基質としてリン酸化し、サイクリン依存性キナーゼCDK4はリン酸化できないのに対し、CAKはその反対で、CTDはリン酸化できず、CDK4をリン酸化した。現在、これら両因子の細胞周期への関与、DNA修復異常の患者に見出されたTFIIHのXPBとXPDサブユニットに変異を有するTFIIHを精製し、転写や細胞周期制御への影響を調べている。 以上我々は、キナーゼ活性による転写と細胞周期の特異的調節の重要性を明確にした。また、各キナーゼ活性は異なり、何らかのメカニズムでTFIIHの活性スイッチが切り替わることで、うまく調節されることが示された。
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[Publications] Kojima,S.et al.: "Transcriptional activation domain of human BTEB2,a GC box-binding factor" J.Biochem.121. 389-396 (1997)
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[Publications] Ohkuma,Y.: "Multiple functions of general transcription factors TFIIE and TFIIH in transcription : possible points of regulation by trans-acting factors" J.Biochem.122. 481-489 (1997)
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[Publications] Sugasawa,K.et al.: "Two human homologs of Rad 23 are functionally interchangeable in complex formation and stimulation of XPC repair activity" Mol.Cell.Biol.17. 6924-6931 (1997)
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[Publications] Masutani,C.et al.: "Identification and characterization of XPC-binding domain of hHR23B." Mol.Cell.Biol.17. 6915-6923 (1997)