1996 Fiscal Year Annual Research Report
機械刺激による細胞の形づくり:方向認知と極性形成の分子機構
Project/Area Number |
08458206
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
曽我部 正博 名古屋大学, 医学部, 教授 (10093428)
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Keywords | 血管内皮細胞、 / 機械刺激、 / 形態応答、 / 機械受容チャネル、 / 接着斑、 / チロシン燐酸化、 |
Research Abstract |
本研究計画の目的は、1軸方向の周期伸展刺激に対する血管内皮細胞の形態応答の分子機構を明らかにすることにある。我々はこれまでに、この形態応答に機械受容チャネルの活性化による細胞内Ca^<2+>の上昇が必須であること、またアクチン線維と接着斑の空間的再編成が形態変化に直結する最終応答であることを明らかにしてきた。さらにその両者を結ぶ反応として接着斑蛋白質のチロシン燐酸化が必須であることも示してきた。平成8年度は主として、蛋白質キナーゼの同定とそのCa^<2+>依存性の機構解明を行い、以下の結果を得た。1)まずチロシン燐酸化の主要な標的蛋白質が接着斑キナーゼ(pp125^<FAK>)とパキシリン(PAX)という2種類の接着斑会合蛋白質であることが判明した。2)特にpp125^<FAK>のアンチセンス導入により、これが形態応答に必須の蛋白質であることが判明した。3)これら標的蛋白質のキナーゼとしてpp60srcが同定された。4)その活性は機械受容チャネルの活性化による細胞内Ca^<2+>上昇に依存することが判明した。5)本来Ca^<2+>依存性ではないsrc活性のCa^<2+>依存性を実現する機構として、Ca^<2+>依存性脱燐酸化酵素カルシニューリンの関与が明らかとなった。すなわちカルシニューリンによってsrcが脱燐酸化されて活性化する事が強く示唆された。以上の結果により機械刺激の受容から形態応答に関わる情報カスケードの主要な情報分子が同定されその流れをつなぐことができた。現在これらの情報分子の分布や活性状態の2次元イメージングを試みてる。
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[Publications] Murakami,T.,Shimomura,Y.,Fujitsuka,N.,Sokabe,M.,et.al.: "Enlargement of glycogen store in rat liver and muscle by fructose diet intake and execise training." J.Appl.Physiol.(in press).
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[Publications] Sokabe,M.,Nunogaki,K.& Naruse,K.: "Stretch activated ion channels : Single channel vs.whole cell responses" Progr Cell Res.6. 139-149 (1996)
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[Publications] Kobuke,Y.,Tanaka,Y.,Sokabe,M.: "Artificial non-peptide single ion channels." Progr Cell Res.6. 167-188 (1996)
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[Publications] Okada,H.,Yoshida,J.,Sokabe,M.,Wakabayashi,T.,Hagiwara,M.: "Suppression of CD44 expression decreases migartiona nd invasion of human glioma cells." Int J Cancer Res,. 66. 255-260 (1996)
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[Publications] 曽我部正博、成瀬恵治、: "培養細胞への各種伸展刺激法" 組織培養. 22. 413-417 (1996)
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[Publications] 曽我部正博、成瀬恵治、嶽本和久: "SAチャネルは細胞の機械センサか?" 蛋白質・核酸・酵素. 41. 2-13 (1996)
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[Publications] 曽我部正博: "単一チャネルデータの処理と解析法 In 「パッチクランプ実験技術法」(岡田編)" 吉岡書店, 181(50-62) (1996)
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[Publications] 曽我部正博: "イオンチャネルのゲートとゆらぎ In 生物物理別冊「生体膜」(葛西、田口編)" 吉岡書店, 167(47-66) (1996)