1997 Fiscal Year Annual Research Report
機械刺激による細胞の形づくり:方向認知と極性形成の分子機構
Project/Area Number |
08458206
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
曽我部 正博 名古屋大学, 医学部, 教授 (10093428)
|
Keywords | 血管内皮細胞 / 一軸伸展刺激 / 形態応答 / 接着班蛋白質 / src / チロシン燐酸化 / 細胞骨格 |
Research Abstract |
本研究計画の目的は、1軸方向の周期伸展刺激に対する血管内皮細胞の形態応答(極性形成)の分子機構を明らかにすることにある。我々はこれまでに、この形態応答に機械受容チャネルの活性化による細胞内Ca^<2+>の上昇が必須であること、またアクチン線維と接着斑の空間的再編成が形態変化に直結する最終応答であることを明らかにしてきた。さらにその両者を結ぶ反応としてsrcキナーゼによる接着斑蛋白質(FAK)のチロシン燐酸化が必須であることも示してきた。平成9年度は主として、チロシン燐酸化接着斑蛋白質とその上流に位置するチロシンキナーゼsrcの役割のより詳細な解析とイメージングを試み、以下の結果を得た。1)1軸伸展刺激によるチロシン燐酸化の主要な標的蛋白質がFAK、Cas、とパキシリン(PAX)という3種類の接着斑会合蛋白質であることが判明した。このうちアンチセンス導入により、FAKは形態応答に必須の蛋白質であることが分かっているが他の役割は調査中である。2)これらの蛋白質のキナーゼ候補としてsrc同定しているが、このアンチセンスを導入することにより、先のチロシン燐酸化も形態応答も抑止されたので、srcの関与が確実になった。3)さらにsrcを過剰発現した線維芽細胞を用いて、形態反応コントロールと比較して保進されることを見いだしたので、srcは細胞種を越えて伸展刺激による形態応答に関わることが示唆された。4)接着斑蛋白質及びその燐酸化を蛍光イメージングしたところ、ともに細胞伸長の方向に局在する傾向が見いだされた。5)srcは形態応答の進行に伴い、細胞質から再編中の細胞骨格上に移行することが見いだされた。以上のことから細胞極性の形成はCa^<2+>の分布(空間的に均一)ではなく、接着斑蛋白質のチロシン燐酸化の空間的異方性にあることが示唆された。
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] Naruse,K., Yamada,T.Sokabe,M.: "Involvement of SA channels in orienting response of cultured endothelial cells to cyclic stretch." Am,J.Physiol.(in press).
-
[Publications] Qi Z., Sokabe,M.: "Dynamic properties of individual water molecules in a hydrophobic pore lined with acylchains:a molecular dynamics study" Biophys Chem. (in press).
-
[Publications] Yu,W., Sokabe,M.: "Hypotonically induced whole cell currents in A6 cells:relationship with cell volume and cytoplasmic Ca^<2+>" Jpn J Physiol. 47(6). (1997)
-
[Publications] Suzuki,M., Naruse,K., Asano,Y., Okamoto,T., Nishikimi,N.Sakurai,Y., Nimura,Y., Sokabe,M.: "Up-regulation of integrin β3 expression by cyclic stretch in human umbilical endothelial cells." Biochem.Biophys.Res.Com.239. 372-376 (1997)
-
[Publications] Sokabe,M., Nunogaki,K. & Naruse,K.: "Strech activated ion channels:Single Channel vs.whole cell responses" Progr Cell Res.6. 139-149 (1997)
-
[Publications] Sokabe,M., Naruse,K., Sai,S., Yamada,T., Kawakami,K., Inoue,M., Murase,K., Miyazu,M.: "Mechanotransduction and intracellular signaling mechanisms of stretch-induced remodering in endothelial cells." Heart and Vessels,Suppl.12. 191-193 (1997)
-
[Publications] Sokabe,M., Auerbach,A., Sigworth,F.(Eds): "Towards Molecular Biophysics of Ion Channels" Elsevier Sci BV,Amsterdam,Netherland, 307 (1997)
-
[Publications] 曽我部正博(編著): "イオンチャネル" 共立出版、東京, 224 (1997)