1996 Fiscal Year Annual Research Report
光回復酵素によるDNA修復の分子機構に関する結晶学的研究
Project/Area Number |
08458208
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三木 邦夫 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10116105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北所 健悟 京都大学, 理学部, 助手 (60283587)
喜田 昭子 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70273430)
樋口 芳樹 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90183574)
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Keywords | 光回復酵素 / DNA修復 / X線結晶解析 / 立体構想 / 構造生物学 |
Research Abstract |
光回復酵素(photolyase)はDNA修復酵素の一つで,紫外線によってDNAに生じる損傷であるピリミジン二量体に結合し,その後に吸収する光のエネルギーを用いて元の単量体に修復する.このDNA修復は光回復と呼ばれる.本研究は,ラン藻Anacystis nidulans由来の光回復酵素の立体構造をX線構造解析により決定し,含まれる2種の補欠分子とアポタンパク質の相互配置を解明することによって,光によるDNA修復の分子機構を原子レベルで理解しようとするものである. Anacystis nidulans由来の光回復酵素については,大腸菌での大量発現系が確立しており,これによって得られたものに補欠分子を再構成した酵素標品を結晶化に用いた.その結晶は,正方晶系と三方晶系のものが得られているが,構造解析にはより高分解能の回析を与える前者の結晶形を用いた.高エネルギー物理学研究所のシンクロトロン放射光で測定した,native結晶および重原子誘導体結晶の回析強度に基づいて,多重同型置換法を適用して位相計算を行ったところ,分子領域を完全に認識できる良好な電子密度図が得られた.さらにsolvent flatteningなどの電子密度改良法を適用して改良を加え,その結果,グラフィックス上で,本酵素の完全な分子モデルを構築することができた.全体のフォールディイングは,これまでその立体構造が解明されている大腸菌由来の光回復酵素とよく似ていた.また,この酵素が持つ2種の補欠分子(還元型FADおよび8-ヒドロキシ-5-デアザフラビン型補欠分子,8-HDF)の一も決定するとがてきた.その結果,大腸菌由来の光回復酵素と比べて,共通の補欠分子FADの結合部位は同じであるが,第2の補欠分子である8-HDFは(大腸菌由来酵素の場合は還元酵素葉酸型であるMTHF),全く異なる部位に結合していることがわかった.現在,分子動力学的法(simulated annealing 法)によって,結晶構造の精密化を行っている.
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