1996 Fiscal Year Annual Research Report
細胞膜ドメイン・カベオラ構造体の形態形成と機能発現メカニズムの研究
Project/Area Number |
08458211
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
村田 昌之 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助教授 (50212254)
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Keywords | 細胞膜ドメイン / カベオラ / カベオリン / 細胞内情報伝達 / コレステロール |
Research Abstract |
カベオラ(caveolae)は、多くのタイプの細胞形質膜上に見られる、非クラスリン被覆タイプのフラスコ状の膜構造体(invagination)であり、カベオリン(caveolin)は、カベオラの細胞質側にある「被覆」の構成タンパク質コンポーネントと考えられている、21KDaの膜内在性タンパク質である。カベオラの生理機能は、未だ確定していないが、細胞のエンドサイトーシス・トランスサイトーシス・ポトサイトーシスなどの、形質膜及び細胞内オルガネラの物質輸送・透過・信号伝達に関わっているとされている。実際、生化学的研究により、カベオラには、非受容体型Src-family kinase、ヘテロ三量体Gタンパク質、Ca^<2+>-依存性ATPase、IP_3受容体、rab5や他の低分子量Gタンパク質などのlipidationを受けた分子が、選択的に濃縮され、かつコレステロール・スフィンゴ糖脂質という特殊な脂質も濃縮されていることが明らかになってきた。これより、カベオラはクラスリン被覆ピットの様な一義的な機能ドメインというよりは、むしろ上記タンパク質・脂質を特異的にかつダイナミックに「トラップ」し、種々の情報伝達機能素子に「制御場」を与える「細胞膜デバイス」と考えられる。本年度、我々は、カベオリンと脂質分子との相互作用が、この「細胞デバイス」集積の鍵となると考え、E.coli.に発現させたカベオリンとイヌ肺(及びウシ肺)から生化学的に精製したカベオリンを用い、proteoliposome再構成法によって、カベオリンと特にコレステロール分子との相互作用を研究した。その結果、カベオリンは、コレステロールとおよそ1:1.4複合体を形成する一種のコレステロール結合タンパク質であり、その結合は2%SDS存在下でも安定であることがわかった。さらに興味深いことに、このコレステロール結合によって、カベオリンのoligomer形成が活性化を受けることを示唆する結果を得た。
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