1997 Fiscal Year Annual Research Report
X線結晶構造解析によるチトクロム酸化酵素のサブユニット及び脂質の役割の解明
Project/Area Number |
08458212
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Research Institution | Himeji Institute of Technology Department of Life Science Assistant |
Principal Investigator |
伊藤 恭子 姫路工業大学, 理学部, 助手 (70206316)
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Keywords | チトクロム酸化酵素 / 結晶化 / 膜タンパク質 / 脂質 / 質量分析 |
Research Abstract |
チトクロム酸化酵素は酸素を利用するあらゆる生物の末端酸化酵素で、チトクロムCから電子を受け取り分子状酸素を水にまで還元するとともにプロトン膜の内側から外側へと能動輸送する。細菌の酵素は、真核生物のミトコンドリア遺伝子由来の3つのサブユニットに相同性のあるサブユニットのみからなるのに対し、酵母では8コ、ウシでは10コの核遺伝子由来のサブユニットが加わり、1つの酵素として機能している。このほかにウシ酵素の場合、8分子の脂質が構造中に確認されている。このようにサブユニット組成等が大きく異なるに関わらず、本質的には同じ機能をもつ。これらの付加されたサブユニット等の機能を構造の上から明らかにするため、パラコッカス及び酵母由来の酵素を結晶化し、我々が明らかにしたウシ心筋酵素の構造と比較検討し、生物が進化する過程で獲得していった各構成要素の役割を構造と機能の両面から考察することを目指した。パラコッカス、酵母から酵素を収率よく精製する方法を詳細に検討した結果、均一な標品が得られるようになり、2つのサブユニットからなるパラコッカスの単結晶を得ることができた。X線照射に対して弱いため今後、低温下での回折実験を可能にする必要がある。ウシ酵素については酵素標品、界面活性剤の純度を上げることによって2.3Å分解能での構造を明らかにすることに成功した。結晶標品から脂質を抽出し、質量分析したところ単一構造をもつPC, PE, PG, CLが含まれることが判り、全構造が明らかとなった。分解能が2.8Åから2.3Åに上がったことにより、活性中心付近の構造が詳細に判り、真のレベルで機能を考えることが可能となった。ATP/ADPの結合部位と思われるコール酸結合部位が少くとも3ヶ所あることが判った他、Ca結合部位があること、ダイマー形成に重要な役割を果たすCL分子の存在等、新たな知見が得られた。
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[Publications] Tsukihara T., Shinzawa-Itoh K., Yoshikawa S.et.al: "The Whole Structure of the 13-Subunit Oxidized Cytochrome c Oxidase" Science. 272. 1136-1144 (1996)
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[Publications] Tsukihara T., Shinzawa-Itoh K., Yoshikawa S.et.al: "Structure of Metal Sites of Oxidized Bovine Heart Cytochrome c Oxidase at 2.8Å" Science. 269. 1069-1074 (1995)
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[Publications] 月原富武、伊藤-新沢恭子、吉川信也: "ウシ心筋のチトクロム酸化酵素の金属中心の構造" 蛋白質、核酸、酵素. 41. 1353-1362 (1996)