1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08458215
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
尾西 裕文 国立循環器病センター研究所, 循環器形態部, 室長 (80092542)
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Keywords | 部位特異的人工変異 / 蛋白質発現 / 平滑筋ミオシン / ATP加水分解 |
Research Abstract |
本研究において、我々は、筋肉のモーター分子(ミオシン)のエネルギー変換機構を解明するために、モータードメインに種々の部位特異的人工変異を導入し、その機能解析を行ってきた。平成9年度には、Glu470-Arg247塩架橋の役割を知るために、Glu470とArg247に人工変異を導入した一連のミオシンを作成した。その結果、Glu470をArgに置き換えたミオシンとArg247をGluに置き換えたミオシンはいずれもATPase活性を持たないが、Glu470をArgに置き換え且つArg247をGluに置き換えた二重変異ミオシンは野生型ミオシンとほとんど同じATPase活性を持つことを発見した。そこで、我々は電荷の方向に依存せず470番目と247番目のアミノ酸残基の間に塩架橋が出来ることがミオシン自身の活性発現には不可欠であると結論した。 本年度は、アクチン存在下というより細胞内に近い環境で測定したATPase活性に対する二重変異の影響を調べた。アクチンで活性化されたATPase活性も野生型ミオシンと変わらないだろうという我々の予想に反して、二重変異ミオシンは野生型ミオシンの約1/100の活性しか現さなかった。この結果は、ミオシン自身の活性発現にはこの塩架橋の電荷の方向には依存しないが、野生型と二重変異ミオシンの間の塩架橋近傍の電荷分布の違いはアクチンによる活性化には非常に重大な影響を及ぼすことを示唆する。ミオシンの512番目のトリプトファンは特別な環境にあり、ヌクレオチド結合部位にATPが結合するとこのトリプトファンの環境が変化し、蛍光強度が増大する。Glu470とArg247に変異を導入した種々の変異ミオシンの蛍光測定から、塩架橋領域は結合ATPがトリプトファン環境に影響を及ぼす情報伝達経路として役立つことが明らかになった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Onishi,H.: "Functional transitions in myosin:Formation of a critical salt-bridge and transmission of effect to the sensitive tryptophan." Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 95(12). 6653-6658 (1998)
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[Publications] Katoh,K.: "Isolation and contraction of the stress fiber." Mol.Biol.Cell. 9(7). 1919-1938 (1998)
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[Publications] Onishi,H.: "Smooth muscle myosin:Amino acid residues responsible for the hydrolysis of ATP.In“Mechanism of work production and work absorption in muscle"" Plenum Publishing Corp.New York and London, 99-104 (1998)
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[Publications] Onishi,H.: "Structure and function of smooth muscle myosin as revealed by baculovirus-Sf9 cell expression system.In “Molecular mechanism and the disorder of smooth muscle contraction"" Randes Bioscience,Georgetown, 1-13 (1999)