1996 Fiscal Year Annual Research Report
分裂酵母温度感受性変異株を用いたmRNA核外輸送/mRNA細胞内局在化機構の解析
Project/Area Number |
08458221
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
谷 時雄 九州大学, 理学部, 助教授 (80197516)
|
Keywords | mRNA輸送 / 分裂酵母 / mRNA / 変異株 |
Research Abstract |
mRNAの核から細胞質への輸送過程は、真核生物の遺伝子発現において極めて重要な一段階であるが、その機構には未だに不明な部分が多い。我々は、mRNA核外輸送の分子機構を明らかにすることを目的として、遺伝的操作が行いやすく、かつ、高等真核生物との類似点の多い分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe)の温度感受性致死変異株バンクの中から、mRNAの3'末に存在するポリA部分にハイブリダイズするoligo dTをプローブに用いたin situ hybridizationによるスクリーニングを行い、制限温度下にシフトすると輸送が阻害されて核にmRNAが蓄積するmRNA核外輸送温度感受性変異株7株(ptr1〜ptr7)を同定した。更に、分裂酵母の遺伝子ライブラリーを用い、それぞれの変異について機能相補する野生型遺伝子を分離した。その結果、ptr1^+はubiquitin ligaseE3様因子、ptr2^+は細胞周期制御に関与するRCC1遺伝子(Ran/TC4のguanine nucleotide exchange factorをコードする)の分裂酵母での相同遺伝子、ptr3^+はubiquitin activating enzyme E1因子、ptr4^+は染色体分離に関わるCut1pをそれぞれコードしていることが明らかとなった。これらの結果は、ubiquitin systemがmRNAの核から細胞質への輸送過程においても、極めて重要な役割を担っていることを示唆している。また、遺伝子破壊実験によってptr3^+遺伝子が分裂酵母の生育に必須であることが明らかになった。さらに、Ptr3pとGFPとの融合蛋白を分裂酵母内で発現させ、細胞内に於けるPtr3pの存在部位を解析したところ、この因子は細胞質と核の両方に存在していることが示された。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 谷 時雄: "分裂酵母におけるmRNA核外輸送:核小体の関与と熱ショックストレスによる輸送阻害" 蛋白質核酸酵素. (印刷中). (1997)
-
[Publications] A.K.Azad: "Isolation and molecular characterization of mRNA transport mutants in Schizosaccharomyces pombe" Mol.Biol.Cell. (印刷中). (1997)
-
[Publications] S.Urushiyama: "Isolation of noval pre-mRNA splicing mutants of Schizosaccharomyces pombe" Mol.Gen.Genet.253. 118-127 (1996)
-
[Publications] 谷 時雄: "mRNAの輸送と局在:細胞内交通の手段と信号" 細胞工学. 15. 1595-1603 (1996)
-
[Publications] Y.Takahashi: "Spliceosomal introns in conserved sequences of U1 and U5 small nuclear RNA genes in yeast Rhodotorula hasegawae" J.Biochem.120. 677-683 (1996)
-
[Publications] K.Lundgren: "A connection between pre-mRNA splicing and the cell cycle in fission yeast" Mol.Biol.Cell. 7. 1083-1094 (1996)