1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08458254
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Research Institution | TOKYO METROPOLITAN UNIVERSITY |
Principal Investigator |
磯辺 俊明 東京都立大学, 理学研究科, 助教授 (70106607)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田岡 万悟 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60271160)
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Keywords | 14-3-3タンパク質 / シグナル伝達 / がん遺伝子 / モノアミン合成 / タンパク質キナーゼ / リン酸化 / 脳 |
Research Abstract |
14-3-3は、酵母からヒトにいたる動植物界に広く分布し、細胞増殖や分化、神経伝達など、さまざまな細胞内シグナル伝達系での機能が推定されるタンパク質ファミリーである。本研究では、このファミリーのシグナリング機構の解析を目的として、14-3-3タンパク質(η鎖)とその変異体を大腸菌で発現し、がん関連遺伝子産物及びモノアミン合成系酵素に対する14-3-3の結合部位を解析した。グルタチオンS転移酵素(GST)との融合タンパク質として発現したη鎖またはその変異体と、バキュロウィルス-昆虫細胞で発現したRaf-1またはBcr(1-412)の複合体形成の有無を解析したところ、全長のη鎖、およびη鎖の171-213の構造領域(box-1)を含む変異体のみがこれらのキナ-ぜと特異的に結合した。一方、14-3-3は、Ca^<2+>/カルモデュリン依存性タンパク質キナーゼII(PKII)でリン酸化したチロシン水酸化酵素(TH)、トリプトファン水酸化酵素(TPH)に選択的に結合して酵素を活性化し、脱リン酸化処理によって解離した。変異体による解析から、η鎖の171-213のbox-1領域がリン酸化TPH、THに対する共通の結合部位と考えられた。結合の引き金となるのは、酵素分子の調節ドメインに位置するSer-19(TH)とSer-58(TPH)のリン酸化と推定された。さらに、GST-ηあるいはbox-1のみを欠損したGST-η(△boxー1)をラット脳幹抽出液に加えたのち、カルモデュリン存在下でリン酸化処理して生じた複合体の分析から、14-3-3のbox-1領域は、TPH、Raf-1、Bcrをはじめとする多くの標的タンパク質に対する共通の結合部位となっていることが推定された。以上の結果から、14-3-3の多様な生物学的機能は、標的分子のリン酸化反応に依存した共通の機構によって担われていると結論した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Muratake,T.: "Strutural organization and chromosomal assignment of the human 14-3-3 η chain gene" Genomics. 36. 63-69 (1996)
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[Publications] 新開史子: "14-3-3蛋白質ファミリー:その構造とシグナル伝達系での役割" 蛋白質・核酸・酵素. 41. 313-316 (1996)
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[Publications] Ichimura,T.: "The 14-3-3 binds its target proteins with a common site located towards the C-terminus" FEBS Letters. 413. 273-276 (1997)
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[Publications] Ogihara,T.: "14-3-3 protein binds to insulin receptor substrate-1,one of which is in the phosphotyrosine binding domain" J.Biol.Chem.272. 25267-25274 (1997)
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[Publications] 磯辺俊明: "14-3-3蛋白質ファミリーと細胞内情報伝達" 細胞工学. 16. 70-76 (1997)
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[Publications] 磯辺俊明: "14-3-3蛋白質" 医学のあゆみ. 181. 787-788 (1997)