1997 Fiscal Year Annual Research Report
ノックアウトマウスによる神経系カルシウムシグナリングの解析
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08458257
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
井本 敬二 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 教授 (00176512)
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Keywords | カルシウムチャネル / ノックアウト / 変異マウス / 小脳失調症 / パッチクランプ |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、電位依存性カルシウムチャネルのノックアウトを、P/QタイプおよびNタイプについて行ったが、ノックアウトマウスの作成には至らなかった。カルシウムチャネル遺伝子のノックアウトは、まず相同組換えを起こしたES細胞株を得にくいというばかりでなく、得られたES細胞からキメラマウスを作成する段階でも困難を伴う。これらの問題点がなぜ起こるのかは不明であるが、世界中でまだ電位依存性カルシウムチャネルのノックアウトマウス作成が成功していない現状を鑑みると、カルシウムチャネルに特殊な困難性があるのではないかと考えられる。 この間、電位依存性カルシウムチャネルの自然変異が、マウスにおいて小脳失調を起こす事が明らかとなってきたため、小脳失調マウスのカルシウムチャネルの解析を行った。小脳よりプルキンエ細胞を急性単離し、パッチクランプ法にてカルシウムチャネルの開閉キネティックス、イオン選択性などの検討を詳細に行った。その結果、開閉キネティックス・イオン透過性などに大きな変化は見られないが、チャネル活性が非常に低下している事が明らかとなってきた。このことは、過剰なカルシウムにより細胞が障害されるという一般的な予想を覆すものであり、現在論文の投稿を準備している。 電位依存性以外のカルシウムチャネルとして、レセプター活性型のカルシウムチャネルのクローニング・発現および機能解析は順調に進んでおり、その一つをノックアウトするプロジェクトは、ES細胞の樹立まで達成されており、今後キメラマウスを作成している予定である。
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[Publications] Garcia,J.et al.: "Role of S4 segments and the leucine heptad motif in the activation of an L-type calcium channel." Biophys.J.72. 2515-2523 (1997)
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[Publications] Dirksen,R.T.et al.: "The S5-S6 linker of Repeat I is a critical determinant of L-type Ca^<2+> channel conductance." Biophys.J.73. 1402-1409 (1997)
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[Publications] Nakashima,Y.et al.: "Molecular cloning and characterization of a human brain ryanodine receptor." FEBS Lett.417. 157-162 (1997)
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[Publications] Wakamori,M.et al.: "Functional characterization of ion permeation pathway in the N-type Ca^<2+> channel." J.Neurophysiol.79. 622-634 (1998)
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[Publications] Mori,Y.et al.: "Differential distribution of TRP Ca^<2+> channel isoforms in mouse brain." NeuroReport. 9. 507-515 (1998)