1996 Fiscal Year Annual Research Report
アロマテ-スと性ステロイド受容体の制御による脳の性分化メカニズム
Project/Area Number |
08458262
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
篠田 晃 近畿大学, 医学部, 講師 (40192108)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中濱 健一 近畿大学, 医学部, 助手 (60281515)
長野 護 近畿大学, 医学部, 助手 (80155960)
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Keywords | アロマテ-ス / エストロゲン / アンドロゲン / 性ホルモン / 内側視策前野 / 扁桃体 / ステロイドレセプター / 性分化 |
Research Abstract |
本年度は、in vivoの実験データの収集が中心となり、in vitroの実験は、神経培養の観察、データ解析のために必要な、落射蛍光微分干渉同時観察用万能倒立顕微鏡、CCDカメラ、イメージプロセッサ、データ解析装置らの機器購入と設置、および実験条件を決めるための予備実験にとどまった。 in vivoの実験において、現在までのところ、正常ラットのmPO-AMニューロン群におけるアロマテ-ス、エストロゲン受容体、アンドロゲン受容体の発現の生後発達を免疫組織化学的に押さえ、雌雄の発現パターンの違いを明確にすることができている。その結果によると、生直後、雄でやや高いが雌雄ともに著明なアロマテ-スの発現は生後数日より徐々に落ち始め、三週目頃で成獣パターンとなり、雄では成獣でもまだかなりアロマテ-ス発現があるが、雌では発現がかなり落ちてしまうため著明な性差が明らかとなる。アンドロゲン受容体は、雄で視策前野の室周囲領域にわずかながら認められるも、一般に新生仔期には、mPO-AMでは雌雄ともにあまり発現していない。エストロゲン受容体は、内側視策前野に雌雄ともかなりの発現が認められるが、尾側で雌優位の発現の性差があり、分界条床核および内側扁桃体核では、(雌でやや高いが)雌雄ともに発現レベルが低い。思春期を過ぎると今度は、雄でアンドロゲン受容体がmPO-AMに大量に発現し始め、雌でもかなりの発現はあるが、雄優位に著明な性差が明らかになる。エストロゲン受容体は、成獣になっても雌雄ともに基本的に新生仔期における発現と大差はないが、思春期以降、雌のmPO-AMでは、アロマテ-スが落ち始めると反対にエストロゲン受容体は雌特異的に発現が増強し始め、ここでの性差が顕著になることがわかった。また、雌の生直後に去勢された成獣におけるこれら三者の発現パターンは、雌性化することも示され、雄で性成熟レベルに達した後にエストロゲン、テストステロン、ジヒドロテストステロン投与での変化が明らかにされつつある。
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Research Products
(1 results)