1998 Fiscal Year Annual Research Report
複数の光ファイバー光学的膜電位測定システムを用いた嗅覚情報伝導の機能的研究
Project/Area Number |
08458269
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Research Institution | Shimane Medical University |
Principal Investigator |
廣田 秋彦 島根医科大学, 医学部, 教授 (50156717)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一ノ瀬 充行 島根医科大学, 医学部, 助手 (90127506)
榎本 浩一 島根医科大学, 医学部, 助手 (70112125)
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Keywords | 光学的測定法 / 膜電位 / 光ファイバー / 嗅球 / RH-414 / RH-704 |
Research Abstract |
本研究は光ファイバーを用いた膜電位の光学的測定法を用いて、嗅覚情報伝導を機能的に解明することを目的とする。具体的には、測定方法として膜電位感受性色素で染色したラットの嗅球から、独自に開発した光ファイバーを用いた落射螢光法により膜電位を光学的に記録する新しい方法を導入するものである。これまでの研究のように細胞対細胞の1対1の対応関係でなく、もっとマクロな視野に立って、細胞群同士の対応関係という側面から嗅覚の情報処理の解明をめざすことを特徴とする。 最終年度の本年は、まず、測定システムの最後に残された問題点であった、光源の不安定さに由来する光強度のゆらぎの解決に取り組んだ。光源の電源を交換し、ランプを定電流制御するように変更したことで大幅に改善することに成功し、測定システムの性能は実用レベルに達した。膜電位感受性色素も昨年度までのRH-704,RH-795に加え、本年度より新たにRH-414とRH-704を導入し、テストした。 ウイスター系の9〜12週齢、メスのラットを用い、嗅球から記録する実験系はようやく確立され、現在の段階では、Cinelli,KauerらのSalamanderの嗅球からの論文(Journal of Neuroscience VOl.73:2017-)に似た光学的シグナルが得られるようになった。しかし、詳しい解析の結果、この光学的シグナルの大部分は、実は、膜電位由来のものではないことが示唆されるに至り、一流誌に掲載された内容ではあるが、かなり懐疑的であることが明らかになった。その結果、引き続き、純粋に膜電依存性の光学シグナルを得るための方法を模索する必要がある事態を招いている。
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