1997 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質視覚野の抑制性シナプスにおける可塑性の分子機構
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08458271
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小松 由紀夫 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (90135343)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩本 由美子 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (10291907)
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Keywords | シナプス可塑性 / 長期抑圧 / 抑制性シナプス / L型Ca^2チャンネル / 視覚野 |
Research Abstract |
昨年度の研究では視覚野GABA作動性抑制性シナプスの長期増強について解析し、その誘発には抑制性シナプス活動によりシナプス後細胞内のCa^<2+>の放出が必要であること明らかにした。本年度の研究では興奮制シナプス活動により引き起こされる抑制性シナプスの長期抑圧の誘発機構について解析した。生後20-30日のラットから作製した視覚野切片標本のIV層に刺入した刺激電極により誘発されるシナプス電位をV層細胞からガラス微小電極で細胞内記録した。灌流液にNMDA受容体拮抗薬APVとnon-NMDA受容体拮抗薬DNQXを加えて興奮性シナプス伝達をブロックし、単シナプス性抑制性シナプス後電位を記録した。記録細胞から脱分極性パルス通電によりシナプス後細胞を高頻度に発火させると、抑制性シナプス伝達に長期抑圧が生じた。記録電極内液にCs-acetateを用いてシナプス後細胞のK^+チャンネルをブロックしたり、L型のCa^<2+>チャンネルの活性化剤のBAY K8644を灌流液に加えると、通電により誘導される活動電位の幅が広がり、長期抑圧が安易に生じた。逆に、L型のCa^<2+>チャンネルの抑制剤のnifedipineを灌流液に加えるか、記録電極にCa^2キレーターのBAPTAを加えると長期抑圧は生じなくなった。また、記録電極からcaged Ca^<2+>のNitr5をシナプス後細胞内に加えておいて、紫外線照射することによりシナプス後細胞内のCa^<2+>濃度を上昇させるだけでも長期抑制が生じた。以上の結果は、興奮制シナプス活動によりシナプス後細胞に高頻度の活動電位が発生すると、L型Ca^2チャンネルを通ってシナプス後細胞にCa^<2+>が流入し、抑制性シナプス伝達に長期抑圧が誘発されることを示唆する。
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