1998 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質視覚野の抑制性シナプスにおける可塑性の分子機構
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08458271
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小松 由紀夫 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (90135343)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
枝川 義邦 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (50303607)
岩本 由美子 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (10291907)
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Keywords | シナプス可塑性 / 長期増強 / 抑制性シナプス / K^+チャンネル / 視覚野 |
Research Abstract |
視覚野抑制性シナプスの長期増強は細胞外液の陽イオン組成に強く依存していることが分かったので、その依存性と原因を調べた。長期増強は2.4mM Ca^<2+>、1.3mM Mg^<2+>を含むコントロール液中では生じないが、Ca^<2+>濃度の上昇に伴いその発生頻度は上昇し、3.6-4.8mMでは全細胞において生じた。また、Ca^<2+>の代わりにMg^<2+>を2.9mMに増加しても、長期増強は生じた。2価陽イオンは膜表面の負の電荷を中和し、膜を横切る電位差を増大し、膜電位依存性チャンネルを閉じさせる作用があるので、静止膜電位付近で開閉するチャンネルが長期増強の発生を制御すると思われる。また、Mg^<2+>をさらに増加すると長期増強は再び生じなくなるので、細胞内へのCa^<2+>流入量が長期増強発生の重要な因子と考えられる。静止膜電位付近で開閉するチャンネルの関与を検討するために、細胞外K^+濃度を低下させて過分極させると長期増強が発生しやすくなるか調べた。2.5mM Ca^<2+>と2mM Mg^<2+>を含む細胞外液でK^+濃度を変化させると、長期増強は4と6.2mMではほとんど起らないが、2.5mMでは約3分の2の細胞に生じた。6.2から2.5mMにK^+濃度が減少すると10-20mV程度過分極すると予想されるので、コントロール液中でその程度の過分極により閉じるチャンネルが長期増強を制御していると考えられる。コントロール液中でもK^+チャンネル阻害薬のCharybdotoxin(60 nM)やCs^+(1 mM)を加えると長期増強が生じたので、そのチャンネルはK^+チャンネルと考えられる。従って、そのK^+チャンネルが閉じていると、細胞内へのCa^<2+>の流入量が増加し長期増強が発生可能になるものと思われる。このように、K^+チャンネルにより長期増強が制御されているために、この長期増強の発生が細胞外液の陽イオン組成に強く影響を受けるものと考えられる。
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Research Products
(1 results)