1996 Fiscal Year Annual Research Report
多因子遺伝性肥満・糖尿病モデル動物を用いた量的形質遺伝子座の解析
Project/Area Number |
08458273
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
泉 哲郎 群馬大学, 生体調節研究所, 助教授 (00212952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 純 群馬大学, 生体調節研究所, 助教授 (40270855)
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Keywords | QTLマッピング / 多因子遺伝性モデル動物 / 糖尿病 / 肥満 |
Research Abstract |
TSODマウスは、肥満、高血糖(糖尿病は雄のみに発症)、膵ランゲルハンス氏島の著名な肥大、終生にわたる高インスリン血症を特徴とする。NIDDM、肥満のように多因子遺伝性でその計測値が連続値をとる場合、量的な形質を支配する遺伝子座(quantitative trait locus,QTL)の解析が重要である。我々は本マウスの体重、血糖値、インスリン値などを支配するQTLを同定するための遺伝学的解析を行っている。1、一般に用いられるプライマーを蛍光色素でラベルしてタイピングする方法は高価なため、[F]dUTPを用いてラベルする方法を確立した。2、TSODマウスは非近交系ddYマウスより近交化されたため、各遺伝マーカーのPCR産物のサイズはわかっていない。そこで平均約3.5cMの間隔で全ゲノムをカバーする442のマーカーを選び、これを計測した。この結果より、既存の近交系マウスのうち本マウスとの間で多型性の高いBALB/CJを対照マウスに選択した。3、両系統マウスの交配により、F1-100個体、F2-600個体を得、9週齢で体重、空腹時および糖負荷後(グルコース1g/kg腹腔内投与後30分、1時間、2時間後測定)の血糖、インスリンを測定した。4、F2個体のゲノムDNAを抽出し、両系統間で多型性のあるマーカーを約10cM間隔で150選択し、各形質と連鎖するQTLを特定するために、そのタイピングを行っている。5、F1世代は、体重、空腹時血糖・インスリン値、IP-GTTによる耐糖能いずれの値もTSODとBalb/CJのほぼ中間の値を示し、関与する遺伝子群の作用は、付加的であることを示唆した。6、F1群を、母親-TSOD・父親-Balb/CJ、母親-Balb/CJ・父親-TSODの2群に分けると、体重、空腹時インスリン値については前者が後者より有意に高値を示し、性染色体、ミトコンドリア遺伝、インプリンティングの関与、子宮内環境の影響などの可能性が考えられた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Kayo,et al.: "Proprotein-processing Endoprotease Furin Controls Growth of Pancreatic β Cells." Diabetes. (印刷中). (1997)
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[Publications] 泉 哲郎: "糖尿病成因遺伝子解明へ向けて" 最新医学, 6 (1997)