1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08551006
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Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
丑木 幸男 国文学研究資料館, 史料館, 教授 (60223525)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 千絵 東京国立文化財研究所, 保存科学部, 主任研究官 (40215885)
青木 睦 国文学研究資料館, 史料館, 助手 (00260000)
渡辺 浩一 国文学研究資料館, 史料館, 助教授 (00201179)
山田 哲好 国文学研究資料館, 史料館, 助教授 (70220390)
鈴江 英一 国文学研究資料館, 史料館, 教授 (30259999)
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Keywords | 史料 / 近世史料・近代史料 / 紙質 / 劣化測定装置 / 化学発光法 / ケミルミネッセンス / 化学発光検出機 / ケミルミネッセンスアナライザー |
Research Abstract |
本研究は、膨大に残存する近世・近代史料の劣化予防を研究する前提として、それらの史料がどのように劣化・損傷しているのか、どのくらい劣化・損傷がひどいのか、などの科学的な調査・評価方法の確立を目指している。採用した評価方法は「化学発光法」である。平成8年度、史料個体全部を検査可能とする専用の化学発光検出機を開発試作し、平成9年度より測定を開始した。測定内容は、和紙や洋紙の素材ごとのデータの検出、その同材質のサンプルを蛍光灯曝露した場合の影響測定、次に当館所蔵史料から紙の時間経過による劣化の測定を行うサンプルとして陸奥国弘前津軽家文書・領地朱印状[檀紙・楮紙]、阿波国徳島蜂須賀家文書・御内書[檀紙・楮]等を用い、100〜200年継続的に作成された同質史料の計測を中心に測定を進めた。加えて、伝存の古文書の代替として和紙を強制劣化させ、その材質劣化評価の判定を史料専用の化学発光検出機を用いて行った。 3年継続の最終年度として全体研究会を当館で開催し、研究・測定実験経過の概要について報告し、(1)強制劣化させた和紙試料の化学発光測定(2)史料館所蔵江戸幕府発給文書の化学発光測定(3)『和紙見本帳』その他の化学発光測定、の測定実験報告を行った。 本研究の調査は、岡山県立博物館・高梁市文化交流館において収蔵の江戸幕府発給文書と同質と物として残存する「檀紙」の紙質調査を実施し、計測檀紙との比較検討を行った。 この研究は、第一に化学発光による分析が非破壊的に行える機器の開発、第二に紙の化学発光量の測定結果をもとに劣化度合とどのような相関関係にあるかを検証することであり、成果を得た。また、本研究の特色である史料学と保存科学の研究者が共同研究を行い、測定機器の研究試作開発と材質評価の解明に取り組んだことの意義が認められる。この測定法の有用性を高めるデータ集積に鋭意努め、成果報告書を作成した。
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Research Products
(2 results)