1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08554027
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
池田 龍一 筑波大学, 化学系, 教授 (90022631)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石丸 臣一 筑波大学, 化学系, 助手 (10251034)
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Keywords | オーバーハウザ-効果 / 電子-核二重共鳴 / 不対電子スピン / 電子スピン拡散 |
Research Abstract |
ハロゲン架橋一次元混合原子価錯体において生成する不対電子スピンの長距離拡散の機構を解明する目的で、Overhauser効果を利用した電子一核二重共鳴実験装置の設計と製作を行った。強いマイクロ波を試科に加えることによってESR信号を飽和させ、これにより強いNMR信号が得られるという効果を利用して、緩和時間の磁場依存性の測定を低磁場へ拡大する。本研究においては、新しい磁気共鳴分光の原理にもとずき二重共鳴装置の開発するとともに、低磁場下での緩和時間の測定を可能にすることを目的とした。 電子核二重共鳴装置の設計において、まず、マイクロ波の発生装置は現有のESR分光器の発信器を用い周波数範囲8800-9600MHzを得ることができた。この出力を新たに購入したマイクロ波増幅器を用いて約30Wの最終出力を得た。マイクロ波のキャビティーはNMRコイルを挿入してもQ値が下がりにくいTM110モードを採用した。 キャビティーの共振周波数を広い範囲(8800-9600MHz)で可変するための方法の開発が今回の設計の最大の難問であり、まず最初に、キャビティー内部に金属または誘電体を挿入する方法を試した。しかし、温度可変用の石英デュワ-管と試料管をキャビティー内に挿入するだけで、共振周波数は9900MHzが8900MHzに減少して、金属または誘電体を出し入れしてもほとんど共振周波数は変化しないことが明らかになり、この方法は採用できなかった。最終的には、微妙な実験操作が要求される方法であるが、挿入する石英管の位置を上下に移動させる方法が最も広い周波数範囲を確保できることが判明し、キャビティーの製作を行った。NMR信号の検出には既存のパルスNMR分光器を用い、新たにNMR信号検出用コイルをできるだけキャビティーQ値を下げないような形状にして取り付け、電子-核二重共鳴装置を完成させた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] S.Tanaka 他3名: "Rotator phase in n-dodecylammonium chloride studied by ^1H and ^2H solid NMR andtyermal measurements" Bull.Chem Soc.Jpn.70. 2981-2986 (1997)
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[Publications] H.Ishida 他3名: "Cationic Self-Diffusion in Solid Choline Perchlorate Studied by ^1H NMR" Z.Naturforsch.520. 637-639 (1997)
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[Publications] A.Ghosh 他5名: "Solid State ^1H NMRin One Dimensional Neutral Complex:[PtCl_2(en)][PtCl_4(en)]" Solid State Commun.104. 469-472 (1997)
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[Publications] H.Ono 他3名: "New Mosophases in Ionic Crytals:Piperidinium Perchlorate and Nitrate Studied by ^1H ^2H ^<14>N and ^<35>Cl NMR." Chem.Phys.Lett.275. 485-490 (1997)
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[Publications] N.Kimura 他4名: "Spin Solitons in a Halogen-Bridged 1-D Complex" Synth.Metals. 86. 2151-2152 (1997)
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[Publications] R.Ikeda 他4名: "Methylammonium Aluminum Chloride Hydrate:Its Chemical Composition and Phase Transitions" Solid State Commun.101. 647-651 (1997)