1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08554035
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
岩槻 邦男 立教大学, 理学部, 教授 (10025348)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷部 光泰 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助教授 (40237996)
加藤 雅啓 東京大学, 大学院理学系研究科, 教授 (20093221)
村上 哲明 京都大学大学院, 理学研究科, 助教授 (60192770)
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Keywords | アロザイム多型マーカー / 空間的遺伝構造 / 自己相関解析 / カエデ属 / 分子系統 / 多様性 / 絶滅 |
Research Abstract |
1.植物の遺伝的多様性の滅失と保全を考える上で、植物の実際の移動能力を調べることが重要である。シダ植物は一般に1個体で大量の胞子をつくり、散布能力が高く、遺伝子流動は非常に大きいと考えられてきた。ところが、本研究でアロザイムの電気泳動的多型を遺伝マーカーとしてイノモトソウの集団内遺伝構造を解析した結果、高々数10mの石垣の中にも対立遺伝子の頻度が大きく異なる部位が見出された。同様の結果は、東京都文京区の2集団で見られただけでなく、500km近く離れた京都のイノモトソウ集団でも見られた。各個体の遺伝子型の空間的自己相関解析の結果では遺伝的に均一なパッチの大きさはたった4-10mくらいしかないことが示されている。今回のデータは、シダ植物の胞子による散布がこれまで考えられてきたよりもはるかに制限されることが起こり得ることを示唆している。 2.カエデ属Acerは落葉広葉樹林を構成する最も大きな属であり、約200種を含む。化石記録から歴史上、種分化と絶滅の繰り返しによって現在の種群が形成されてきたと考えられる。種の絶滅過程を推定する基礎データとして、本研究では、カエデ属の種間関係を色素体DNAのRFLP解析から推定した。その結果、カエデ属節間の系統関係、カエデ属の色素体DNAの進化速度は7.9X10-1l<10のマイナス11乗>+/-<プラスマイナス>1.4X10-ll<10のマイナス11乗>であり、これまで報告されている多年生植物のものとほぼ一致すること、東アジアと北米に隔離分布する姉妹種について分岐年代を推定したところ中新世後期であり、東アジアと北米フロラの類似は複数回の両地域間の種群の拡散、分断、絶滅によって引き起こされたことがわかった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Murakami N.,et al.: "Marked spatial genetic structure in three populations of a weedy fern,Pteris multifida Poir.,and reestimation of its selfing rate." Plant Species Biol.12. 99-108 (1997)
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[Publications] Hasebe, M.: "Molecular phylogeny of Ginkgo biloba." In T.Hori,ed.,Ginkgo biloba, Springer-Verlag,Tokyo.173-181 (1997)
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[Publications] Hasebe, M.and Banks, J.A.: "Evolution of MADS gene family in plants." In K.Iwatsuki and P.H.Raven eds.,Evolution and Diversification in LandPlants, Springer-Verlag, Tokyo.179-197 (1997)
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[Publications] Fukada-Tanaka. S.,et al.: "Identification of new chalcone synthase genes for flower pigmentation in the Japanese and common moring glories." Plant Cell Physiol.38. 754-758 (1997)