1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08555020
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Research Institution | Semdao National College of Technology |
Principal Investigator |
熊谷 正純 仙台電波工業高等専門学校, 教授 (10044653)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹島 久志 仙台電波工業高等専門学校, 講師 (80216887)
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Keywords | 聴力検査 / 最小可聴値 / RETSPL / MAF / MAP / 標準等価最小可聴値 |
Research Abstract |
聴力検査用イヤホンを新たに開発した場合,その標準等価最小可聴値を心理音響学的実験により測定しなくてはならず,大規模な実験設備と多大な労力および時間が必要である.本研究の最終目的は物理的測定のみによる標準等価最小可聴値の決定方法を開発することである. 標準の最小可聴値がイヤホンに依存する原因として,(a)人工耳が実耳を完全に模擬できていないため,(b)皮膚とイヤホンクッションの接触により発生する生体雑音がイヤホンに依存するため,のふたつが考えられる.先行研究および平成8年度の研究により,(a)が最小可聴値のイヤホン依存性の大きな要因がであるが,低周波数では(b)の要因も影響していることが示唆された.そこで,平成8年度の終りから平成9年度には,(b)の要因について明らかにするために次の実験を実施した. ・ヘッドホンバンド圧力をパラメタとした最小可聴値の測定 ヘッドホンバンドの圧力が大きいイヤホンを装着した際の耳内雑音が大きかったことから,ヘッドホンバンドの圧力をパラメタとして最小可聴値を測定した.周波数は63Hzから1kHzであり,被験者は13名である.しかしその結果,ヘッドホンバンドの圧力を変えても最小可聴値に変化は見られなかった.すなわち,ヘッドホンバンドの強さは最小可聴値に影響しないということになる. 以上の研究結果から,最小可聴値のイヤホン依存の一因がヘッドバンドの圧力の強さには関係が少ないことが示された.よって,最小可聴値のイヤホン依存要因が生体雑音に関係するかは,はっきりとした結論を得ることができなかった.耳内雑音の大きさは,イヤホンのケースの構造にも依存すると考えられる.今後,イヤホンケースの構造と生体雑音の関係を調査するなどして,最小可聴値に影響する生体雑音の発生源をつき止め,生体雑音の測定方法とその影響の程度の見積もり方法を確立するよう研究を進めたい.
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