1997 Fiscal Year Annual Research Report
メトロポリス法を援用した原子シミュレーションの簡易解析法の開発
Project/Area Number |
08555025
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
北村 隆行 京都大学, 工学研究科, 助教授 (20169882)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多田 直哉 京都大学, 工学研究科, 助手 (70243053)
大谷 隆一 京都大学, 工学研究科, 教授 (50025946)
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Keywords | 原子シミュレーション / 分子動力学法 / メトロポリス法 / 簡易解析 / 粒界拡散 / 表面拡散 / 粒界溝 / キャビティ |
Research Abstract |
LSIやマイクロマシン等の微小な機器・構造物の開発が進められており、それらを構成するサブミクロンサイズの微小要素の特性の把握が要請されている.さらに,要素寸法の縮小に伴って原子オーダーから材料特性を明らかにする必要性が指摘されている.分子動力学法は原子運動を動的にシミュレーションする方法であり、材料のミクロ特性を調べる有力な解析手法である.しかし,同方法では時間ステップを10^<-15>秒程度として原子の軌跡を解析する必要があり、現在の計算機能力では短時間のシミュレーションに限られる.また,計算時間は原子数のべき乗(2乗から3乗程度)に比例して増大するため,シミュレーション領域の観点からも大きな制約をうけている. 本研究では,平衡状態の静的特性を原子オーダーから解析する手法であるメトロポリス法を基礎に,動的過程である拡散のシミュレーションを行う簡易法について検討した.とくに,実際の条件下でのシミュレーションが可能になるよう,シミュレーション効率の向上に留意した.具体的には,原子運動が活発であるとともに界面挙動が問題となるため原子シミュレーションの必要性が高い,高温での欠陥発生機構の素過程(応力に起因する拡散等による機構)に着目し,簡易解析法を開発した.この方法をLSIアルミ配線のストレスマイグレーション破壊の発生起点となる粒界溝の形成に適用し,シミュレーションの有効性について確認した.本方法によって拡散過程による破壊機構について無理のない時間オーダーで原子レベルから解析できる.また,メモリー容量が少なくてよいため,原子の数を増やすことも容易である.
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[Publications] Takayuki Kitamura: "Molecular Dynamics Simulation on Grain Boundary Diffusion in Aluminum under Hydrostatic Stress" JSME International Journal,Ser.A. 41・1. 10-15 (1998)
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[Publications] 北村隆行: "体拡散クリープ下の粒界キャビティ成長の数値解析" 日本機械学会論文集,A編. 64・618. 373-378 (1998)