1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08555042
|
Section | 試験 |
Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
兼田 もと宏 九州工業大学, 工学部, 教授 (90039123)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今里 州一 日本タングステン(株), 基山工場, 主査
徳本 啓 日本タングステン(株), 基山工場, 主査
坂口 茂也 日本タングステン(株), 基山工場, 主幹
|
Keywords | 超硬合金 / セラミックス / き裂 / 滑り軸受 / メカニカルシール / 熱弾塑性解析 / トライボロジー |
Research Abstract |
超硬合金を摺動材料として使用した場合の致命的欠陥は、摺動面に多数の微細き裂が発生する場合があることである。本研究の目的は、は裂発生頻度の極めて低い超硬合金をその相手摺動材の材質をも考慮して開発し、それが実際においても正しいことを確認することである。本年度はき裂の発生要因の把握に主眼におき、コバルトまたはニッケルをバインダとして使用し、WCの粒度をそれぞれ変えたもの4種、バインダレス超硬2種、ステライト、焼結チタン合金の計10種を炭化ケイ素に対して回転摺動リング試験装置及び軸-スリーブ摺動試験装置を用いて摺動試験するとともに、き裂発生の理論的基盤を得るために従来の解析に熱応力をも考慮した熱弾塑性解析を実施した。得られた主たる成果は次のようにまとめられる。 1.超硬合金の組成並びに粒度はき裂発生に影響を及ぼすがその程度は相手摺動面の表面粗さの寄与度に比較して小さい。即ち、超硬合金表面に発生するき裂は相手摺動面の表面粗さを大きくすることによって防止できる。 2.き裂の発生形態は残留応力の発生状況に深く依存する。すなわち、摺動方向に直角にき裂が発生した摺動面には摺動方向の残留応力が存在し、格子状にき裂が発生した場合の摺動面には摺動方向並びにそれと垂直方向にも同程度の引張残留応力が存在する。 3.き裂が摺動方向に垂直に発生する理由を熱応力のみで説明することは困難であり、接線力を伴った接触荷重の機械的作用がその要因として不可欠である。ただし、き裂は、低接触応力下では摺動発熱に起因する熱応力によって誘起される残留引張応力の作用が主要因となってもたらされ、高接触圧力下では接線力をも伴った機械的作用主要因となってもたらされる可能性が高い。
|