外洋に面した海岸・港湾における水理学的諸問題に関わる現地調査と観測データの公開

1997 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 08555129
• Research Institution: Toyohashi University of Technology
• Principal Investigator: 青木 伸一 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教授 (60159283)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 陸田 秀実 岐阜大学, 工学部, 助手 (80273126) ; 篠田 成郎 岐阜大学, 流域環境研究センター, 助教授 (80187369) ; 水谷 法美 名古屋大学, 工学部, 助教授 (10209760) ; 柏原 謙爾 名古屋工業大学, 工学部, 助手 (50262952) ; 喜岡 渉 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (10135402)
• Keywords: 波浪観測 / 台風時波浪 / 港湾 / インターネット / 長周期波 / 副震動

Research Abstract

平成9年9月10日から10月30日の期間,愛知県渥美半島太平洋岸に位置する赤羽根漁港東側海岸沖約2Kmの地点(水深12〜13m)に波高計2基を海岸線に平行に設置し,水圧計,2成分電磁流速計,超音波波高計による波浪観測を行った.期間中5つの台風が沖合いを通過し,高波高の波浪が観測された.さらに高波浪による地形変化を調査するために,台風前後に赤羽根漁港東側海岸の深浅測量を試みた.
沖合いで観測したの波浪データの解析により,台風の通過に伴う波浪特性(有義波高,有義周期)の変化を調べるとともに,沿岸残差流の特性を波浪および風のデータと比較することによって考察した.また,波浪成分のうち数分程度の長周期変動に着目し,波高の増大にともなう長周期成分のエネルギー変化,およびその海岸での反射特性を明らかにした.昨年の観測データと同様に,波群周期程度の長周期波は波高の増大にほぼ比例してその振幅が大きくなること,また砕波帯で増幅されていることなどが明らかになった.ただし,今回は台風によるうねり以外にも周期が短く波高の大きな通常の風浪が観測されたが,長周期波は風浪ではあまり発達しておらず,有義波周期の影響を受けることが明らかになった.さらに,港内で昨年測定した水面変動データを解析し,数値シミュレーションとの比較を行って副振動の発生要因について考察した.GPSを用いた深浅測量については,技術的に測定可能であることが判明したので,来年度は本格的な観測を行う予定である.
上記の現地観測と並行して,昨年構築したインターネット上のWWWサーバー上に,本年度観測した波浪データを追加した(URLはhttp://hydromac.tutrp.tut.ac.jp/coconut.html).データベースには,波浪の生データ,風,気圧,天気図,台風経路図などの情報の他に,本研究に関する発表論文の公開も合わせて行っている.Webページへは開設以来現在まで1000件を越えるアクセスを記録している.

Research Products

• [Publications] 青木伸一・喜岡渉 他: "台風の通過に伴う沿岸長周期波の増幅と伝播に関する現地観測" 海岸工学論文集. 第44巻. 216-220 (1997)
• [Publications] 山村易見・青木伸一 他: "赤羽根漁港沖での台風時の波浪特性" 土木学会中部支部研究発表会講演概要集. 335-336 (1998)
• [Publications] 橋本実樹・喜岡渉: "沿岸付近の短周期内部波と長周期動波" 土木学会中部支部研究発表会講演概要集. 331-332 (1998)