1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08555136
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Section | 試験 |
Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
桃井 清至 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (60003852)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 清一 (株)クボタ 環境プラント事業部, 副部長
亀屋 隆志 長岡技術科学大学, 工学部, 助手 (70262467)
小松 俊哉 長岡技術科学大学, 工学部, 講師 (10234874)
下村 匠 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (40242002)
丸山 久一 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (30126479)
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Keywords | 廃棄物 / 溶融処理 / スラグ / 溶出試験 / ハイパフォーマンスコンクリート |
Research Abstract |
本研究では,廃棄物溶融スラグの品質改善技術と新利用技術の開発を目的として実験研究を行った。2カ年計画の初年度にあたる本年度は以下の研究成果を得た。 1.廃棄物溶融スラグの品質改善技術の開発 スラグの化学的安定性に着目し,実験室内で種々の条件で作成したスラグの溶出試験を行った。スラグからの金属類の溶出量は,溶融時間や冷却方法にはほとんど影響されないが,pHおよび主成分組成に大きく左右された。すなわち,両性金属ではアルカリ条件下で溶出量が増加する傾向がみられたが,すべての主成分金属類は酸性条件下で最大溶出量を示した。塩基度(Cao/SiO2)が高いスラグほど溶出量が増大し化学的な安定性が劣る。また,溶出率(含有量あたりの溶出量)は各成分によって異なるが,これは主成分であるCaOやSiO2の溶出量が増大すると溶液中のイオン強度が増大し,イオン化傾向の小さい金属類は溶出が抑えられ,スラグ表面に付着残存したためであることが確かめられた。この溶出傾向は,溶出にともなうスラグと溶出液の物質収支やスラグ表面の元素分析および溶解度積から求めた活量計算によって説明できた。また,溶融スラグの強度は,主成分組成や作成温度条件や結晶度とはあまり相関性がないが,結晶質の違いによって大きく異なることが示唆された。 2.有効利用技術の開発 ハイパフォーマンスコンクリートへの適用性を検討した。廃棄物スラグを原料として用いたコンクリートは,自己充填性を有していたが,流動停止後に水が分離する傾向があった。廃棄物スラグは,粒度が細かくなるにつれて流動や材料分離に関する性能が高炉スラグやフライアッシュなどの既存の粉体材料に近づいたことから,粉砕時に粒度を適切に調整することにより,自己充填コンクリート用混和材として利用できる可能性が示された。しかし,粉体スラグの粉砕方法や適切な配合比などについてさらに検討する必要があった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 島健: "廃棄物溶融スラグからの重金属溶出機構に関する研究" 土木学会年次学術講演会講演概要集第7部. 51. 234-235 (1996)
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[Publications] 阿部清一(共著): "廃棄物の溶融処理技術とスラグの有効利用" エヌ・ティー・エス, 157(28) (1996)